記者会見し、次期衆院選に立候補しない意向を表明した自民党の堀井学衆院議員(当時)=札幌市中央区で2024年6月25日午後5時49分、金将来撮影

 パーティー券収入のキックバック(還流)を政治資金収支報告書に記載せず、選挙区内で違法に香典を配布したとして、東京地検特捜部は29日、政治資金規正法違反(虚偽記載)と公職選挙法(寄付の禁止)違反で堀井学元衆院議員(52)=自民党離党、28日に辞職=を略式起訴した。自民派閥の政治資金パーティー裏金事件で、国会議員経験者が起訴されるのは4人目。

 略式起訴は非公開で審理される書面審理の手続きで、東京簡裁は即日、罰金100万円の略式命令を出した。政治資金規正法と公職選挙法に違反すると、いずれも公民権が原則5年停止されるが、簡裁は3年に短縮した。議員辞職が考慮された可能性がある。確定すれば、堀井元議員は3年間、選挙に立候補できない。

 起訴状によると、堀井元議員は清和政策研究会(安倍派)から2019~21年に受領した還流資金約1700万円を収支報告書に記載しなかったとされる。

 さらに、議員本人が葬儀に参列した場合を除き、選挙区内での香典配布が禁じられているのに、21年10月~23年10月、自身の選挙区である北海道9区内の有権者52人に、秘書らを通じて香典計38万円と、枕花や供花(計約23万円相当)の計約61万円相当を渡したとされる。

 関係者によると、堀井元議員は、裏金事件について「還流資金の不記載を了承した」、香典配布事件も「選挙地盤の維持のためだった」と供述し、いずれの起訴内容も認めたという。

 特捜部は24年1月、裏金事件で不記載額が3000万円を超えた国会議員3人と派閥の会計責任者ら計10人を起訴(在宅や略式含む)した。堀井元議員の不記載額は立件ライン未満で、この時点では刑事処分に至らなかった。

 しかし、特捜部は裏金事件の捜査の過程で香典の違法配布の疑いも把握。捜査の結果、政治資金規正法に違反しただけでなく、公選法にも繰り返し違反していた疑いが強まり、両事件を合わせて立件すべきだと判断したとみられる。【安元久美子、北村秀徳、岩本桜、山田豊】

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