2022年、岡山市で幼い女の子が母親と交際相手から虐待され死亡した事件の母親の裁判が始まって1週間。裁判の争点について深堀りします。
西田真愛ちゃん。岡山市の自宅で母親とその交際相手に虐待され、6歳で死亡しました。
起訴状などによりますと、母親の西田彩被告は2021年9月、交際相手と共謀して、真愛ちゃんを全裸にさせて、顔を殴る、椅子の上に置いた鍋の中に長時間、立たせるなどの虐待を繰り返し、全身を布団で巻き付け、逆さまの状態で押し入れの中に放置し、低酸素脳症で2022年1月に死亡させたとして、逮捕監禁致死などの罪に問われています。
虐待を実行した、交際相手は2023年、懲役14年の判決が確定していて、西田被告は、「自ら率先して一緒にやったわけではない」と起訴内容を一部否認しています。
今回の裁判の争点は、直接、暴行していない西田被告に共謀共同正犯が成立するかしないかです。共謀共同正犯の成立要件は、犯罪を共同遂行する意思があること。共謀の事実があること、共謀に基づいた実行行為があることとされています。
検察側は冒頭陳述で、西田被告は、交際相手の虐待を制止しなかった、娘の救出も可能で容易だったとして共謀共同正犯が成立すると指摘しています。
一方で、弁護側は西田被告は虐待を止めることができず、犯行を容易にさせた「ほう助」にとどまると主張しています。ほう助の罪となると、共謀共同正犯より刑が減軽されます。
裁判では、検察側の証人尋問で交際相手が出廷し、「虐待のきっかけは西田被告からしつけの相談を受けたこと」、「2人で話し合って体罰をした」と証言。虐待については、「西田被告に確認・報告をしていた」「虐待を止めてと言われた時には止めていた」と話しました。
これに対し、西田被告は「しつけをお願いしたことは一切ない」と強く反対し、室内に設置されたカメラや携帯電話で24時間監視され、「警察や児童相談所に相談することもできなかった」と主張しました。
また、裁判では、事件当時、中学生だった西田被告の長男が裁判長の職権で特別に証言台に立ち、「きょうだい4人で男の人から虐待を受けていた時、お母さんは自分たちを守ってくれようとした」と話しました。
裁判は8月29日に結審。共謀についてどういった判断を下すのか、注目されます。
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