静岡県浜松市立の小中学校でいじめを受けた女性(20)が23日、市教育委員会などのいじめへの対応が不適切だったとして、学校を設置・管理する市に約1800万円の損害賠償を求め、静岡地裁浜松支部に提訴した。女性はPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、現在も治療中で、提訴後の記者会見で「いじめを許さない環境をつくってほしいという思いで提訴した。二度と同じ思いをする子がいないようにしてほしい」と語った。【山田英之】
訴状によると、女性は小学1~5年にかけて、同じ学校の児童から石をぶつけられる、けられるなどの継続的な暴力や悪口を言われてきた。中学でも暴言や無視されるいじめを受け、別の中学に転校した。小学生時代の担任にいじめの被害を相談したが、他の教職員と共有するなどの対応をしてもらえなかった。
女性の母親は2018年、学校側にいじめの調査を申し入れた。市教委の調査委員会は「いじめによる重大事態」として市長に報告した。
しかし、調査委に第三者が含まれず、具体的な調査がなされなかったため、母親は市と利害関係のない第三者委員会による再調査を求めた。再調査委員会は22年に市長に提出した報告書で、小学1~5年にかけての継続的ないじめを認定。市教委と中学校について「女性の学校環境に対する安心感や信頼感が損なわれる結果になった」と不適切な対応を指摘した。
代理人弁護士は「女性はPTSDの症状を悪化させ、回復が困難になった。市のいじめ対応の実態について訴訟で問題提起したい」と述べた。宮崎正・市教育長は「訴状が届いたら、内容を確認して対応を検討する」とコメントした。
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