大浦湾くい打ち着工

 旧盆明けの今週、県内では重大なニュースが続きました。沖縄防衛局は20日、新基地建設の進む名護市辺野古の大浦湾北側で「A護岸」の造成工事に着手しました。また22日には、6月の死傷事故以来中断していた名護市の安和桟橋での土砂の運搬作業も再開しました。

大浦湾で金属製のくいを打ち込むクレーン船=20日午後3時20分、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(ドローンで金城健太撮影)

 怒り、悲しみ、諦め、抗議への新たな決意など、紙面では市民や県民のさまざまな声が紹介されました。本格着工されたとはいえ、すぐに完成するわけではありません。防衛局は工事に9年超の期間が必要で、米軍に提供するのは12年後と見積もっています。専門家のコメント「エキスパートEye」では、防衛ジャーナリストの半田滋さんが軟弱地盤の問題点、政府の強弁を批判しています。全国の方々にも読んでいただき、沖縄の基地負担について考え続けてほしいと思います。

犠牲者悼む鎮魂の祈り

 22日には、学童や一般住民ら1788人を乗せた疎開船「対馬丸」が米軍潜水艦に撃沈されて80年がたちました。

 1944年8月21日午後6時35分に那覇港から長崎へ向け出航した対馬丸。翌8月22日午後10時12分ごろ、悪石島沖で米潜水艦ボーフィン号の魚雷攻撃を受け、23分ごろ沈没しました。真っ暗な夜の海で、わずか10分ほどで沈没した対馬丸に乗っていた子どもたちのことを想像すると、二度とこのような悲劇を繰り返してはいけないと強く思います。

「戦後80年へ」の記事一覧はこちらから。

短歌で興南が県勢初優勝

 明るいニュースもありました。

 短歌の甲子園で、興南高校が初出場・初優勝を成し遂げました。興南高校の皆さん、おめでとうございます!

 短歌の甲子園ってどういう感じなのかなと思い、ユーチューブで大会の様子を見てみました。驚くことに、野球の甲子園のように試合開始のサイレンが鳴り、進行するアナウンサーが「プレイボール」と開会を宣言。3人一組のチームで、短歌を発表する順に「1番バッター」「2番バッター」などと呼ばれていました。

 歌の良しあしだけでなく、歌に対しての質問や意見、それに対する回答、受け答えも評価に加味されます。質問や意見が鋭く、的確であれば審査員が「ヒット」と書かれた札を出すなど、見ていて楽しめました。

 来年の興南高校による連覇や県勢の出場、好プレーを期待しています。

 また、お祝いごとといえば、南米ボリビア・サンタクルス県のオキナワ第1移住地で「コロニア・オキナワ入植70周年記念祭典」もありました。

コロニア・オキナワの入り口にある「めんそーれオキナワへ」と書かれた看板=2023年10月 看板の裏側には「良い旅を! 行ってらっしゃい」と書かれている=2023年10月

 移民1世の方々はジャングルを開拓して街を築きましたが、現在の移住地が出来上がるまでに、米軍統治下の政策に翻弄(ほんろう)され、謎の熱病に冒されて死傷者が出たり、川の氾濫で開拓地が水没したり、多くの困難にも見舞われました。それでも農業を中心とした産業を構築して次世代を教育し、文化や伝統を継承してきました。

第1移住地を意味する「OKINAWA UNO」のサイン。沖縄らしい絵が描かれている=2023年10月

 私が昨年訪れたオキナワ移住地では、沖縄らしい光景を目にすることもあり、海外のウチナーンチュたちの故郷・沖縄に対する熱い思いが感じられました。多くの沖縄の若者に、こうした移民の歴史や先人たちの思いを知り、世界のウチナーンチュネットワークをつないでいってほしいです。入植70年の機会に、ボリビアと沖縄のつながりを生かしたビジネス交流や文化、人材交流がますます発展することを願います。

 台風10号が北上しており、沖縄の天気への影響も気になります。崎濱綾子さんのお天気コラム「うちなぁ季節めぐり」によると、台風が発生しやすい背景に「モンスーンジャイア」があるとか。気になる方は、コラムをチェックしてみてください。今週のデジ編チョイスはこの辺で。デジタル編集部の川野百合子が担当しました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。