2025年大阪・関西万博の会場にペットの同伴を認める案について、日本国際博覧会協会は実施を見送る方向で調整に入った。協会関係者が23日、明らかにした。実現すれば万博では初めてとなるが、同伴できる動物の種類や時期、費用などを巡り、協会理事らの間で意見がまとまらないという。9月の理事会で協議する。
ペットの同伴は、愛猫家の松井一郎・前大阪市長が提案した。協会は獣医師や学識経験者らで構成する検討委員会や、博覧会国際事務局(BIE)の意見も踏まえ、実施案をまとめた。
動物の福祉や動物アレルギーがある来場者に配慮し、暑い時期や繁忙期を避けて、同伴可能な日を5月の平日10日間に限定。種類は小型犬のみとし、1日100匹に制限した。会場内では犬をカートに乗せることを義務付け、ワクチン接種を事前に確認するルールも決めた。必要経費は約8300万円を見込む。
ところが、6月の理事会で経済界を中心に費用対効果を疑問視する声や「ペットのためになるのか」「(規模が)限定的で中途半端」との異論が噴出し、決定は先送りに。その後も意見が折り合わず、「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のテーマを、ペットの同伴で具現化するのは難しいとの方向に傾いたという。
ペットの同伴に賛成してきた協会副会長の吉村洋文大阪府知事は23日、報道陣に「やらないより、やった方がいい」と言及。見送りが決まった場合は「(府などが出展する)大阪ヘルスケアパビリオンで、ペットとの共生に関するイベントを考える」と述べた。【藤河匠、東久保逸夫】
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