兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は23日、パワハラ疑惑を中心に職員6人の証人尋問を非公開で実施した。一連の問題で職員への尋問は初めて。
百条委の奥谷謙一委員長らは尋問後に県庁で記者会見し、知事が最高幹部に文具を投げつける場面を目撃したとする職員の証言があったことを明らかにした。奥谷氏は「知事から厳しくしっせきを受けたという方が結構いた。これから事実を評価し、パワハラにあたるのか判断したい」と語った。
一連の問題を巡っては、県西播磨県民局長だった男性が3月、知事のパワハラを含む複数の疑惑をまとめた告発文を一部の県議会議員や報道機関に配った。
元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、「知事らを誹謗(ひぼう)中傷した」と認定し、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。元局長は7月、県内親族宅で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられる。
知事は一貫して告発内容を否定しているが、百条委が実施した県職員アンケートの中間報告では約4割が「知事のパワハラを見聞きした」と回答。自由記述欄では、「知事が打ち合わせの際に『聞いていない』と発言し、ペンを机の上に投げつけてその場が凍りついた」などとする具体例も挙げられているという。
また、知事が視察先などでカニやカキなど多数の贈答品を受け取っていたとする新たな疑惑の証言が寄せられ、「知事はお土産がない遠足には行かない」との指摘もあった。
知事は23日午後に県庁で取材に応じ、パワハラ疑惑を巡るアンケート結果について「県政をより良くするために必要な指示や指導をしてきたが、これだけ多くの職員が回答している事実に接し、大変残念な思いだ」と説明。「職員の受け取りとの間にずれが生じていたことによって不快な思いやご負担をかけたことは重く受け止めなければならない」と語った。
30日には百条委で知事の証人尋問がインターネット中継を含めて全面公開されることが決まった。【大野航太郎】
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