多くの子ども達が手に取り、奇想天外な発想に胸を躍らせたロングセラー絵本「はれときどきぶた」の作者で、児童文学作家の矢玉四郎さん老衰のため亡くなったと、20日岩崎書店が発表した。80歳だった。

矢玉さんは1944年大分県生まれ。1980年に、日記に書いたことが現実になり、ついには空から「ぶた」が降ってくるという「はれときどきぶた」を発表し、大ヒットした。テレビアニメ化されたほか、世界各国でも出版。「はれぶた」シリーズは全10巻発表された。

SNSには、昔子どもだった人たちから、「日記に書いたことが本当になるエピソードで『えんぴつの天ぷら』が夕飯に出るなど、不思議と笑いに満ちた作品でしたね」「ありえない事が実際に起こってしまう驚きと怖さとおかしさがあって、読むのが楽しかったです」といった、作品を懐かしむ書き込みが多く見られた。

矢玉さんは生前、岩崎書店によるインタビューの中で、「はれときどきぶた」の構想について、「最初のアイデアからだと10年かかりました」「みんなに受け入れてもらえるのか心配でしたが、作者としては、このナンセンスな話でも一割くらいの人は、よくわかってくれるだろうと予測していました」と話している。

また読者である子ども達については、「子供を未完成の劣ったものと見ていたら童話は書けません。日本では昔から『七歳までは神の子』とか『子宝』とかいわれてきました。西洋の子供観とは違います。画家であれば、子供の描く絵の素晴らしさがわからない人はいない。詩人であれば、子供の発する言葉に感動しない人はいない」とした上で、「『はれぶた』シリーズの主人公・畠山則安は、英雄でもないし、スーパーマンでもないので、だれでも自分に置き換えて読むことができます。どんな人でも自分の人生では、自分が主人公です。自分は自分、失敗することもあるけど、自分を自分で育てていくことが成長です」と話していた。

荒唐無稽とも言える奇想天外なストーリーの裏には、子どもたちへの優しい眼差しがあった。

以下は、岩崎書店がホームページに掲載した発表の全文。

「はれときどきぶた」シリーズの著者、矢玉四郎先生が2024年7月14日に老衰のため逝去されました。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

ご葬儀は、矢玉先生のご遺志により、家族葬にて執り行われました。

春頃から体調を崩されていたそうですが、直前までメールでお返事くださっていましたので、私どもとしては思いもよらないことでしたが、満80歳、ご家族は、「生き切った」とおっしゃっていました。

1980年刊行の『はれときどきぶた』は、現在でも毎年版を重ねる超ロングセラー&ベストセラーとなっておりますが、こんなにも長く多くのこどもたちに愛され続ける作品に弊社が伴走できたことを大変光栄に思い、深く感謝しております。

矢玉先生も見守ってくださる中、則安くんやぶたはこれからも活躍を続けます!

ひきつづきよろしくお願いいたします。

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