気温が高い夏場は、細菌性の食中毒が発生しやすい時期。食中毒の原因となる細菌は、20度を超えると活発に増殖を始め、人間の体温ぐらいの温度で増殖のスピードが最も速くなる。年間を通じて温暖な気候の沖縄は、食中毒予防に向けたより一層の衛生管理への取り組みが必要とされている。
沖縄県環境科学センターでは、長年、地域社会の健全な発展に寄与することを目的として、沖縄の環境保全や生活環境の安全・安心に向けた検査・調査研究・啓発等の事業を行っており、食中毒予防に向けた各種検査や調理現場の衛生検査、コンサルタントも実施してきた。
同センターが構築した食品製造・調理における衛生管理向上に向けた独自の研修カリキュラムが、内閣府の人材育成事業に採択され、食品衛生管理の力量を習得する研修事業の参加者を募集している。
研修では、座学での衛生管理知識の習得に加え、食品製造・調理に関わる事業者の協力のもと実際の製造・調理の現場で衛生調査を実践し、即、現場で生かせる衛生管理の基本力量を習得できる内容になっている。
同センターの奈宮正和理事は、食品製造・調理の現場においても人手不足が深刻化していると指摘する。「いつもの当たり前を支えてくれている人がもっと必要とされている」と強調。本研修事業によって、食品衛生管理の力量を備えた人材を育成し「より安全でおいしい食」につなげていきたいと力を入れている。
研修に参加するのに事前の知識や資格は不要で、手に職がなく就労に困っている人や、ひとり親家庭で就労意欲が高い人など広く募集を募っている。受講者が衛生管理力量を習得し、より好条件での就労、その後の就労定着化も目指している。
奈宮理事は、県内食品産業の発展や雇用拡大、賃金向上につなげるためには、食品製造業の課題に注目し、食の安全についての知識をしっかりと身に付け、食品製造業を活性化させることが重要だといい、「本研修は食品業界の従事者だけでなく、業界で働きたいと考えている未就労者も対象。興味のある方はぜひご参加してほしい」と呼びかけた。
1.研修内容
■沖縄県の(食品)の状況と課題
・沖縄県の製造業においては、食品製造業の出荷額が最も大きく(構成比38%)、県内産業の発展~雇用拡大~賃金向上に向けては、食品製造業の活性化が重要課題。
・温暖な気候の影響もあり人口当たりの食中毒の発生率が全国平均と比べて高く、より一層の衛生管理への対応が必要。更に県産食品の県外への販路拡大にも、衛生管理の更なる取組強化が重要。
・県内の食品製造業は、コロナ禍後、需要が回復基調にあるものの製造、調理の現場スタッフの人員不足解消が課題となっており、衛生管理の力量をもった現場スタッフ人材のニーズが高い。
■研修内容と課題解決
・研修内容は、座学での知識習得に加え、当法人顧客の食品製造・調理に関わる事業者様にご協力を頂き実際の製造・調理の現場で衛生調査を実施するもので、研修内容が即現場で生かせる衛生管理の力量を習得できるカリキュラムとなっています。研修終了後の力量は、衛生管理力量評価シートで明確化します。
・研修参加者が研修後、実際に食品の製造・調理現場に携わる事で、人員不足解消の一助と共に食の安全・安心の更なる向上につながると考えています。研修後も当法人が衛生管理の技術相談窓口として等のサポートも実施することで更なる力量向上に向けて協力します。
・研修参加には、知識や資格等は必要としていない為、手に職が無く就労に困っている方や、ひとり親などの就労意欲が高い方に是非、ご参加頂きたいと思います。衛生管理力量を習得し、より好条件での就労化と共に就労定着化の一助になることを期待します。
詳しい研修内容はこちらのPDFをダウンロード
■講師紹介
<渡久地朝子>東京農業大学 農学部農芸化学科卒業 HACCP専門講師、上級食品表示診断士、ISO22000審査員補QMS審査員、環境計量士、AOAC INTERNATIONAL JAPAN SECTION会員、日本微生物学会個人会員、学校給食衛生検査経験22年、コンサル業務経験5年(HACCP等の認証取得、衛生管理)
<石原彩子>琉球大学 理工学研究科修士課程修了、HACCP指導者研修終了者、JFS-AB規格監査員コース修了者、ISO22000審査員補、学校給食衛生検査経験9年、コンサル業務経験5年(HACCP等の認証取得、衛生管理)
【問い合わせ】
■沖縄県環境科学センター 電話098-875-1941
https://www.okikanka.or.jp
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