広島で被爆し、移住先のブラジルで在外被爆者の援護拡大に尽力した森田隆さんが12日、100歳で亡くなった。森田さんは1984年、サンパウロ市内で「在ブラジル原爆被爆者協会(ブラジル被爆者平和協会に改組)」(2020年解散)を設立。在外被爆者にも日本に住む被爆者と同様の援護をすべきだと訴えて訴訟を起こすなど、在外被爆者支援に努めた。
森田さんとともに在外被爆者の援護に携わってきた田村和之・広島大名誉教授(82)は「ブラジルの被爆者のとりまとめ役で、在外被爆者支援の道筋を切り開いたのは大きな功績」とたたえ、「100歳までよく頑張ってくれた」とねぎらった。
同じく森田さんと親交のあった「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」広島支部の世話人、豊永恵三郎さん(88)は「(在外被爆者への健康管理手当支給に尽力した)郭貴勲さん(22年に死去)に続いて立役者が亡くなり、時代の移り変わりを感じる」と述べた。森田さんが5月にサンパウロで岸田文雄首相と面会したことに触れ「亡くなる前に首相に核兵器廃絶への思いを伝えることができて良かったのではないか」と心中を察した。【安徳祐】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。