すぐそばで旅客機が離着陸している滑走路の端で特殊車両の説明を聞く親子連れ=千葉県成田市で2024年7月21日午後2時24分、合田月美撮影

 千葉県成田市はふるさと納税の返礼品に、普段は立ち入ることができない成田空港の制限エリアで航空機の誘導作業などに触れる体験ツアーを取り入れ、人気を集めている。大手航空会社が協力している。

 全日空が提供しているのは「成田空港グラハンツアー」。航空機の離着陸を誘導する作業「グランドハンドリング」を体験したり、空港ならではの特殊車両に乗車したりできる約3時間半のコースで、同作業に特化した初の試みだ。5月下旬に寄付額10万円(2人分)と15万円(3人分)で計10人分を売り出したところ、2時間で売り切れた。

 7月20、21日に実施され、夏休みに入った親子連れが、旅客機が飛び交うA滑走路の南端で旅客機の前輪を持ち上げるなどして動かす「トーバーレストラクター」や荷物を運ぶ「トーイングトラクター」などに乗車した。機体にウミガメを描いた成田―米ハワイ・ホノルル線専用機の到着から駐機までの作業も間近で見学した。参加者は興奮した様子で作業風景をしきりに写真に収めていた。

 ツアーを提案したANAオペレーションサポートセンターの小林周平さんは「グランドハンドリング業務の魅力を発信するとともに、地元にも還元できる仕組みはないかと考えた。興味を持ってもらえるか不安だったが、喜んでもらえてよかった」と話した。同社は9月の追加開催を決めたが、こちらもすぐに売り切れた。

 日本航空も7月、「JAL成田航空機整備センターへ特別潜入! 成田空港非公開エリア見学ツアー」を企画した。

 バスの車窓から動く航空機を間近で眺められるほか、航空機の地上走行を誘導する「ランプセントラルタワー」から空港全体を見渡したり、格納庫で機体整備の様子を見学したりする。整備士による航空教室やグランドスタッフによるミニ講座、国際線の機内食ランチなども盛り込まれる。8月29日と9月21日に実施され、定員はいずれも36人。寄付額は10万円(1人分)と18万円(2人分)を用意。担当者は「通常は立ち入ることのできない場所での貴重な体験や社員との交流を通して、成田空港や空港で働く魅力を味わってほしい」としている。【合田月美】

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