秋田県内を襲った大雨は、海にも大きな影響を及ぼしている。にかほ市の漁港はがれきで覆われ、一時漁ができなくなった。

 菅原咲子アナウンサー:
「にかほ市の金浦漁港。港を埋め尽くしていたごみはすっかり撤去され、日常の風景を取り戻しているように見える」

7月27日、金浦漁港は川から流れ込んだがれきやごみに覆われ、漁ができない状態になった。

また、同じく記録的な大雨に見舞われた山形・戸沢村から最上川舟下りに使う観光船が流れ着いた。

1日も早い漁の再開を目指し、7月31日から地元の漁師や業者などがごみを取り除く作業を進めた。

海から引き上げられた流木などのごみは、港の一角に山のように積み上げられている。このごみをどう処分するかが今後の課題だ。「災害廃棄物」とされるが、いつ、誰が処理をするのかは決まっていない。

金浦漁港を拠点とする漁師の佐藤正勝さんは、「これだけの量になると困る。これが乾いてくると臭いがする。近隣の住民の迷惑になるので、早く処分しないと大変だなと思っている」と頭を抱える。

一方で明るい話題もある。金浦漁港で8月7日から岩ガキ漁が再開された。

資源を保護するため、毎年7月と8月は底引き網での漁が制限される。

にかほ市の漁師にとって岩ガキの素潜り漁は夏場の貴重な収入源だが、港にごみが流れ込んで船を出せない上に、川からの濁流で海の中の視界が悪く、漁に出られない状況が続いていた。

約3週間ぶりに漁が行われた7日は、漁師やその家族などが岩ガキの殻をむく姿が見られた。

水揚げされた岩ガキは、例年通りしっかりと身が詰まっていて、漁師たちは胸をなで下ろしている。

漁師の佐藤さんは「やっと取れて、中を見たらとても良かったので安心した。とにかくいろいろな人にたくさん食べてもらいたい」と話す。

一方で9月に再開される底引き網漁については、「流出物がまだ海にかなりの量があるらしい。気を付けようがないものもある。海の途中に浮いているものなどが目には見えないので少し怖い。自然災害が大きくなっているが、自然を味方にして仕事をしなければいけない商売なので」と不安を口にした。

今後の漁への不安はぬぐい切れないものの、漁港は少しずつ日常を取り戻している。

岩ガキ漁の期間はお盆が終わるまでと残りわずか。佐藤さんは「これまでの分を少しでも取り返せれば」と意気込む。

漂着した最上川舟下りの船は、所有する業者と連絡がつき、向こうの状況が落ち着き次第、陸路で送ることにしている。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。