憲法記念日に当たり談話を発表する戸倉三郎最高裁長官=東京都千代田区の最高裁で(代表撮影)

 10日の定年退官を前に戸倉三郎・最高裁長官(69)が7日に記者会見し、「重い仕事を終える時を迎え、ほっとしている。非常に刺激的な経験で、責任感を持って全力を尽くした」と約2年の在任期間を振り返った。

 戸倉長官は、大法廷の裁判長として、性同一性障害特例法の生殖不能手術要件を違憲・無効とする決定(2023年10月)や、旧優生保護法を巡る訴訟で国に賠償を命じる判決(24年7月)に関わった。性的少数者を巡る訴訟が相次ぐ現状について「裁判所だけでなく、社会全体でこういった価値観の変化、多様性をどう受け入れていくかという問題だ」と述べた。

 42年間の裁判官人生を「メダルも入賞も果たせなかったが、自己ベストの記録を出せて爽やかな気持ちだ」と表現した。

 後任の今崎幸彦・最高裁判事(66)に対しては「裁判員裁判の公判前整理手続きの長期化への対応など課題が残っており、大いに力を発揮されると期待している」と話した。【巽賢司】

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