同窓会組織での不透明な人件費支出や、入試と絡んだ寄付金受け取りが判明していた東京女子医科大学(東京都新宿区)の理事会が、岩本絹子理事長の解任手続きを進める方針を固めたことが5日、関係者への取材で判明した。岩本氏は進退について明言していない。
2日に公表された同大の第三者委員会報告書は、一連の問題で岩本氏の経営責任を「極めて重い」と指摘しており、解任前に岩本氏が辞任する可能性もある。
同大は5日夕に教職員向けの第三者委報告の説明会を開催。複数の関係者によると、その場で理事から「理事の総意として理事長には辞めていただく」と発言があった。岩本氏は「弁護士と相談し、第三者委報告を検証する」などと述べ、進退について明言を避けた。
説明会では丸義朗学長が引責辞任する意向を明らかにしたという。理事会は近く、会合を開いて岩本氏の解任に向けた手続きに入る。理事も岩本氏が退いた後に全員辞任する方針という。
第三者委は、卒業生親族向け推薦入試で同大と同窓会組織「至誠会」が受験生親族から寄付金を収受したと認定。文部科学省通知に違反し、私学助成金が不交付や減額となる可能性もある。
また、至誠会から大学に出向した岩本氏の側近職員2人への人件費について「過大だ」と指摘。大学発注工事を巡っても、受注企業から岩本氏の側近職員の関連会社に1億数千万円が還流していた可能性があるとしていた。
岩本氏は産婦人科医。同大副理事長を経て2019年に理事長に就任した。また、13年から約10年間は至誠会の代表理事も務めた。
至誠会を巡っては、勤務実態のない岩本氏の側近職員に給与を支払っていた疑いがあるとし、警視庁が24年3月、岩本理事長の自宅と大学本部を一般社団法人法違反(特別背任)容疑で家宅捜索した。同大は4月、山上秀明・元最高検次長検事を委員長とする第三者委を設置。第三者委は7月31日に報告書を同大と文科省に提出した。【井川加菜美、斎藤文太郎】
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