兵庫県の斎藤元彦知事によるパワーハラスメントなどの疑惑が文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は2日、知事に対して30日に実施する証人尋問への出頭を求めることを決めた。複数の疑惑が指摘されている中、まずはパワハラの有無に絞って知事本人の証言を得る方針だ。知事はこの日、報道陣に「調査にしっかり対応したい」と述べ、改めて辞職を否定した。
告発文は元県西播磨県民局長の男性(7月に急死)が3月に作成し、一部の県議や報道機関に送付した。パワハラなど七つの疑惑について記されており、斎藤知事は当初、「内容はうそ八百」と否定。5月には県人事課が、文書について「核心的な部分が事実でなく、誹謗(ひぼう)中傷に当たる」とする内部調査結果を公表していた。
告発文は、知事が出張先で20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされたことに立腹して職員らを怒鳴ったなどパワハラと受け取れる言動について記述。これに対し、斎藤知事は6月の記者会見で、事実をおおむね認め「業務上の指導の範囲内だった」と弁明した。
元局長が百条委に向けて作成し、調査資料に採用された陳述書でも、職員に対する新たなパワハラ疑惑が浮上している。百条委は職員約9700人にアンケート調査を実施しており、1日午後5時までに3538件の回答があった。
委員会後、奥谷謙一委員長は「知事には調査項目ごとに複数回公開の場で証人尋問に応じていただき、各回最大2時間一問一答方式で疑問に答えていただきたい」と説明した。
次回百条委は23日にあり、特別職、部長職以外は原則として傍聴できない「秘密会」で職員らの証人尋問を実施。30日の知事の尋問は公開する。【中尾卓英、山田麻未】
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