一つ一つガラスで固められ、日本原燃の施設で保管されている高レベル放射性廃棄物。この最終処分場の選定が問題となっている=青森県六ケ所村で2019年6月、荒木涼子撮影

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定に向けた北海道寿都町と神恵内村での文献調査を巡り、原子力発電環境整備機構(NUMO)は1日、寿都町で行った対話の場を検証する町民へのインタビューにおいて「不誠実で不十分な面があった」と陳謝した。

 対話の場は両町村とNUMOが主催し、一部の住民が参加してこれまで計36回開催。今後文献調査を始める他の地域の参考にするため、NUMOは両町村の住民計51人にインタビューするなどして、対話の場の評価報告書をまとめている。

 一部の寿都町民や同席した専門家が、インタビュー実施時にNUMOの職員が回答を誘導したり、所属不明の同席者がいて町民が不安を感じたりしたと指摘。これに対し、NUMOは1日にあった国の審議会で「十分に内容をお伝えできていない結果となった」「職員の応答が住民に介入的に感じさせてしまった」と謝罪し、町民に直接おわびを伝える意向を示した。

 6月にあった審議会では「回答に影響を与えるような介入的な発言は一切ない」「同席者を必ず紹介した」などとして、問題なかったとの認識を示していた。委員からは「調査が誠実さを欠き、信頼を損ねている」などと批判が上がった。

 NUMOは同日の審議会で対話の場の報告書案を「地域対話の基本的な検討に向けた留意事項集」として公表。審議会の議論を踏まえて近くとりまとめる。【片野裕之】

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