静岡県菊川市で男女3人が殺害された事件で、警察は7月30日、全国に指名手配していた27歳の男の身柄を鳥取県内で確保しました。改めて事件について振り返ります。

事件があったのは静岡県菊川市の住宅で、この家には確保された男の祖父(87)、祖母(81)、50代の母親、叔母(52)の4人が暮らしていました。

外出していた母親からの通報を受け警察が駆け付けると、祖父・祖母・叔母の3人が刃物で切り付けられるなどしていて、犯人は現場から逃走したあとでした。

祖母は当初は話ができ「孫が徒歩で逃げた」などと証言をしていましたが、詳しい足取りがつかめなかったため、警察は7月29日、男を祖母を殺害した容疑で公開捜査に踏み切りました。

公開捜査とは

公開捜査とはどういう時に行われるのか、また今回の踏み切ったタイミングなどについて菊地幸夫 弁護士に聞きました。

菊地幸夫 弁護士:
公開捜査は切迫性がある場合に行われます。具体的には「他者を傷つける・二次被害の恐れがある」あるいは「自死する可能性がある」といった場合です。

メリットは多くの情報が得られることですが、デメリットとして犯人を刺激してしまうという点もあります。

一般的に公開捜査は凶悪犯罪であるとか、社会的影響力が大きいであるといった場合で「犯人が明白である」といった要件が必要です。

今回のケースでは3人を一度に殺害していることから精神的にかなり動揺しており、その点から「他者を傷つける・二次被害の恐れがある」「自死する可能性がある」ことが考えられるので、それを阻止するために公開捜査に踏み切ったと思います

男は静岡県の掛川駅の防犯カメラに映っていた姿が確認されていて、掛川駅から電車などに乗り、鳥取駅に降りたと見られています。

そして30日午後7時、鳥取市内の宿泊・休憩施設で身柄を確保されました。

事件発生から2日あまり。現場となった菊川市からは直線距離で約360kmの場所でした。

身柄が確保された時の状況です。

服装は逃走時のものとは異なっていて、確保された時は落ち着いた様子で「自分がやった」と話していたということです。

また、腹部には自ら刺したとみられる傷があり、鳥取市内の病院に搬送されていますが命に別条はなく軽傷で、警察は男の回復を待って逮捕する方針です。

捜査のポイントについて

なぜ犯行に及んだのか、なぜ鳥取へ向かったのかなどわからないことが多くありますが、今後の捜査のポイントについて菊地弁護士に聞き整理してみました。

菊地弁護士によると、今回は4つのポイントがあるそうです。

(1)逮捕のタイミング
(2)動機
(3)犯行状況
(4)責任能力の有無 です。

菊地幸夫 弁護士:
まず、逮捕については傷が回復し留置に耐えられると医師の判断が下りてからになります。

次に動機については、家にいた3人を全員殺害していますが、それが何故なのかがポイントになると思います。上半身に刺し傷や切り傷が多数あるという報道から強い殺意を感じますが、その背景にある人間関係がどうであったのか。

また、犯行状況についても計画性とも関連しますが、凶器を予め用意していたか、現場にあったものを使ったのかなど解明が必要です。

さらに暴れていたという報道もありましたので、そうだとすれば計画的と言うよりは次第にエスカレートしていったことも考えられます。

そして、3人殺害していますので立件されれば死刑が求刑される可能性が高いので、慎重の上にも慎重な捜査を行っていく必要があると思います

今回の指名手配は祖母への殺害容疑ですが、今後祖父・叔母の殺害への関与についても捜査が進められる見通しです。

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