現職警察官3人の証人尋問が決まったことを受けて記者会見する(左から)高田剛弁護士、大川原化工機元取締役の島田順司さん、同社元顧問の相嶋静夫さん(享年72)の長男=東京・霞が関の司法記者クラブで2024年7月30日午後3時7分、遠藤浩二撮影

 化学機械メーカー「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件を巡り、同社の社長らが東京都と国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は30日、捜査に関わった警視庁の現職警察官3人の証人尋問を10月9日に実施すると決めた。12月25日に結審する。非公開の進行協議後、会社側代理人が明らかにした。

 国賠訴訟の1審・東京地裁判決(2023年12月)は、警視庁公安部と東京地検が、同社の装置が輸出規制品に当たるかを確認する温度実験を尽くさなかったとして捜査を違法と認めた。会社側は、公安部が経済産業省の輸出規制省令を独自解釈して立件に踏み切ったとも主張していたが、1審はこの点は退けており、双方が控訴していた。

 証人としての出廷が決まったのは、会社側請求の1人と都側請求の2人。

 会社側は、控訴審で新たに、公安部と経産省の打ち合わせが記載されているメモを証拠として提出。公安部が不当な働きかけによって独自解釈を経産省に認めさせた経緯が記されていると主張している。会社側証人は打ち合わせに同席した警察官という。

 一方、都側証人の2人は、同社元取締役の島田順司さん(71)に対する取り調べに立ち会った警察官ら。1審は、島田さんを誤解させ、供述調書の署名・押印を求めており、取り調べは違法だったと認めたが、都側は「取り調べは適正だった」と反論している。【遠藤浩二】

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