佐賀空港に隣接する自衛隊駐屯地の建設予定地(手前左)=佐賀市で2023年10月28日、本社ヘリから

 陸上自衛隊の輸送機オスプレイを佐賀空港(佐賀市)に配備する計画を巡り、騒音や墜落事故の被害を受ける恐れがあるなどとして、配備に反対する佐賀や福岡、山口など九州・中国地方6県の住民245人が29日、空港隣接地で建設が進む佐賀駐屯地(仮称)の工事差し止めを国に求める訴訟を佐賀地裁に起こした。

 2023年6月に着工した同工事を巡っては、配備に反対する地元漁師ら4人が同12月、地権者として工事差し止めを求め、同地裁に提訴し、審理が続く。この訴訟を支援する市民団体「オスプレイ裁判支援市民の会」などが「広く市民にかかわる問題だ」として今回の訴訟への参加を呼びかけたところ、佐賀県180人、福岡県55人、長崎県7人、大分、山口、広島の各県からそれぞれ1人が原告に加わった。

 原告らは訴状で、佐賀駐屯地が完成すれば攻撃目標になる恐れがあり「近隣地域の住民が戦争に巻き込まれる被害が切迫している」と指摘。23年11月に鹿児島県の屋久島沖で米軍のオスプレイが墜落した事故などを踏まえ「墜落すれば住民らの生命・身体、財産などへ甚大な被害が生じる。生命を守り、生活を維持する人格権の根幹を侵害する恐れがある」と主張している。

 提訴後に佐賀市内で記者会見を開いた弁護団長の東島浩幸弁護士は「地権者だけの問題ではなく、市民みんなの問題であることをはっきりさせたい」と強調。原告の一人で佐賀県鳥栖市の牧師、野中宏樹さん(61)は「基地は絶対に造らせてはいけないし、オスプレイは絶対に飛ばしてはいけない」と話した。

 防衛省九州防衛局は「訴状が届いた時点で関係機関と内容を検討し、適切に対応したい」としている。【五十嵐隆浩】

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