ブログや著書の出版など、所属する裁判所に対しても批判を厭わない「モノ言う裁判官」が大阪で講演。

“官僚司法”の問題点や裁判官の報酬格差をめぐり異例の国賠提訴に踏み切った心中を語った。

27日、大阪・吹田市で開かれた「日本裁判官ネットワーク」の創立25周年イベントで講演した、三重県・津地方裁判所の民事部で裁判長を務める竹内浩史さん(61)。

そんな竹内さんが今、社会の注目を集めている。
そのきっかけが、今月2日、現職の裁判官として国を相手に起こした民事裁判だ。

勤務地によって裁判官の手当に差があるのは違憲などとして国に対し、自身が大阪高裁から津地裁に転勤したことで減額した約238万円の支払いを求めて名古屋地裁に提訴したのだ。

講演で、その心中を語る。

【竹内浩史さん】
「私は勝てないことはないと思っています。なぜかというと今の最高裁は5年後7年後の最高裁ではないということです。まともな最高裁長官、まともな最高裁判事が多数派を占めていればこれまでの司法政策は間違っていたと、あらためようと。地方で真面目に裁判やっている人たちが、ばかをみる制度はよくないということで違憲判決を出す可能性は十分あると思っている」

10月16日に名古屋地裁で始まる裁判。
竹内さんは「まともな裁判官がいれば勝算はある」と自信をのぞかせた。

もともとは弁護士だった竹内さん。2003年に日弁連と弁護士会による弁護士任官推進制度で弁護士から裁判官に転身した第一号の判事だ。

法廷以外でほとんど声を聞く機会のない日本の裁判官としては珍しく、各地で講演を行い、実名でブログを投稿するなど意見を発信し続ける「モノ言う裁判官」として知られる。

この日も上にモノ申す姿勢は変わらない。話は「官僚司法」にも及ぶ。
「官僚司法」とは、人事や予算など司法行政をもっぱら担当し、実際の裁判を担当しないエリート裁判官を皮肉った言葉だ。

【竹内浩史さん】
「”官僚司法”だとわかったのは、大分県に赴任していた時代。大分地裁の所長で大変な“小役人”というしかない人がいた。これが官僚司法なんだ。こういう人たちが裁判所を牛耳って偉くなっていく。東京高裁部総括になって、場合によっては長官になって、最高裁判事になっていく。ここに最大の問題があると気が付きました」

趣味は、都々逸(どどいつ)。毎日、裁判をネタに都々逸を作ってはブログで公開している。

「官僚司法じゃ立派に聞こえ 小役人裁判と言い換えを」

この日の講演で最新作を披露し会場を沸かせた。

(関西テレビ司法担当・菊谷雅美)

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