甘く香ばしい香り、食欲をそそるふっくらとした身。この時期、一度は食べたくなるウナギですが、値段は高く、まさに高嶺の花。

 そこで水産庁は今後100%人工で行うウナギの完全養殖の目標を示しました。国産ウナギが安くなる日も近い?…しかし!

 「おそらくウナギはこのまま高いままです。ウナギが安くなるとしたらエネルギー価格が下がる、それから魚粉の価格が下がることが必要です」(井尻准教授)

 ポイントはエサ代とエネルギーです。課題解決の糸口はなんと北海道にありました!

 「雪解け水を使って飼育をしているので『雪うなぎ』という名前を付けました」(ホワイトデータセンター 本間 弘達さん)

 エネルギー削減で値段が安くなり、まさにうなぎ上りならぬウナギ下がり? 謎の道産ウナギは救世主になるのか? 土用の丑の日スペシャル:ウナギが安くなる日は近いのか、徹底追跡です。

 北海道産のウナギを求めて向かったのは美唄市。謎に包まれた道産ウナギ。期待に胸を膨らませながら、ウナギを養殖している施設に到着しました。早速、案内のもと、中に入ってみると…

 「結構湿気もあって池がたくさん並んでいますね。ウナギはどこにいるんでしょうか…います!います!ウナギ!結構たくさんいますね」(廣岡キャスター)

 「今4000匹くらいいますね。もうちょっとで出荷サイズですね」(本間さん)

 「これがウナギ店に行って食べられるわけですね。すごい!」(廣岡キャスター)

 現在、こちらの施設では最大1万7千匹ほどのウナギを養殖することができ、近いうち敷地内に施設を増やし拡大も検討しているといいます。

 さらに驚いたのが…

 「雪解け水を使って飼育をしています」(本間さん)
 
 「え!?ていうことは流れている水は雪解け水?」(廣岡キャスター)

 「もともと雪が解けたものを使っています。そういう意味で『雪うなぎ』という名前を付けました」(本間さん)

 年間の降雪量が7メートルを超える美唄市。厄介者とされる雪を何かに活用できないかとこちらの企業が始めたのは、コンピューターサーバーを電気を使わず雪で冷やす「雪冷却システム」。

 その際、コンピューターの熱で溶ける雪をさらに活用できないかと始めたのが今回のニホンウナギの養殖です。しかし、なぜウナギだったのでしょうか?

 「養鰻マップという日本地図があり、見たとき愕然としたのが北海道がゼロだったので、日本地図から消されていて青森が一番上にあったんです。すごいショックでした。何とか北海道でウナギの養殖を始めたいと思ったのがきっかけです」(本間さん)

 ウナギの成長には水温28度から29度が適温と言われていますが、冷却システムとコンピューターサーバーから出る熱で水温を調整することにより、北海道での養殖を可能にしました。

 無限の可能性を秘める「雪冷却システム」。その仕組みを詳しく知ろうと外に出てみるとそこには…

 「あれなんですか?」(廣岡キャスター)

 「実はあの下にたっぷり雪が入っています。どこから来た雪かというと、美唄市内の除排雪を受け入れています」(本間さん)

 「これじゃあ美唄の町中に積もっていた雪?」(廣岡キャスター)

 「皆さんの家の前にあった雪1日分ですね」(本間さん)

 「周りを覆っているのは?」(廣岡キャスター)

 「ウッドチップ、簡単に言うと木のくずです。これを30センチ雪の上にかけることで断熱材の代わりになり、1年間で1.5メートルしか溶けません」(本間さん)

 「じゃあ30センチ掘ったら雪が出てくる?」(廣岡キャスター)

 「はい。周りが濡れているのは『雪解け水』で、これを覆うことで夏の間も溶けずに次の冬まで保存可能です。それを地下パイプに不凍液を流し、雪解け水を循環させ、ウナギのその日の様子や気温を見て微調整しながらやっています」(本間さん)

 地下にはパイプがあり、そこに不凍液を流し、雪解け水を循環させることでサーバーを冷やしています。ウナギを養殖している水槽の水も雪解け水を精製したもので、敷地内で大阪の化粧品会社が精製を担当しています。

 雪解け水は分子が小さく人の肌にも浸透しやすいといわれており、化粧品づくりに活用しながら、繊細さが求められるウナギの養殖の水としても使用されています。

 「雪1トンを使うと油10リットル分のエネルギーと同じです。油1リットル100円くらいしますよね?雪1トンはだいたい1000円くらいです」(本間さん)

 「と考えたら雪を見る目変わってきますね。ただウナギを育てているだけじゃない、雪を使ってというのが北海道らしい事業ですね」(廣岡キャスター)

 気になるのはそのお味!やってきたのは札幌すすきので60年以上続くウナギ専門店「かど屋」。この日は美唄市にゆかりのある人が集まり「雪うなぎ」の試食会が行われていました。

 「新鮮な感じがする」

 「おいしいです。とっても!柔らかい」

「こっちであまりウナギ店も多くないし、地元でウナギが養殖されて地元で食べられるのは嬉しいですよね」(すべて試食会参加者)

 かど屋の店長、八巻さんは雪うなぎの養殖にあたり、試食会を何度も開き、おいしいウナギの特徴や生育環境などにアドバイスしてきました。


 「お味はどんどんおいしくなっています。九州、静岡から空輸で仕入れているものですから、車で1時間というところと生産者さんと顔を合わせられるというところは非常に期待しています。北海道産のウナギというブランド価値というか、そういう風になっていったら嬉しいですね」(かど屋 八巻 直宏店長)

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