特殊詐欺の被害が後を絶ちません。高齢者の自宅に家族などを装って電話し、多額の金をだまし取る特殊詐欺。被害に遭いそうになった女性は、言葉巧みに追い込まれていったと話します。
泉区の80代女性
「息子が浮気した女に旦那がいて子供ができたと言うわけ。500万をすぐ払えば示談にするというわけ」
泉区に住む80代女性。今月1日、息子を名乗る男から電話がかかってきました。
「もしもし母さん?のどが痛くて病院にいて。声がガラガラなんだけどさ…」
泉区の80代女性
「なんか声がおかしいねって言ったら、風邪ひいて、のどやられてひどいからって」
違和感はあったものの、まさかこれが詐欺の電話だったとは…。
「旦那がいる女性を妊娠させてしまった…示談するから金が要るんだ!」
泉区の80代女性
「慌てて話しているんだな。すぐ出ないと今、弁護士が病院に来るんだって。示談金預かりにその預かったお金をすぐ相手の人に渡すように、もうてっきり息子と信じちゃって銀行行ったわけよ、ふっとんで」
ATMに直行し、限度額まで現金を引き出します。しかし、まだお金は足りません。急いで窓口へ。閉店まで、あと30分。
「慌てて何か書いてきたんです」
この時対応にあたったのが柴田奈佳さんです。
山形銀行南光台支店 柴田奈佳営業課長
「さっきの電話で早くしてくれっていうふうに怒られたから、もうすぐ金を持ってかなきゃいけないんだと。ずっと同じことを繰り返している感じ。息子の携帯、いつも使っている携帯は水に落として使えなくなってしまったと小さいメモ帳を持って来て、そこに番号が書いてあったんですけれども、この番号に電話してくれと言われたんです」
「携帯が水没したからいつもの番号はつながらないんだ」息子本人と連絡を取らせないようにする。典型的な詐欺の手口です。
山形銀行南光台支店 柴田奈佳営業課長
「女性はパニックですよね。もう手も震えているし。ちゃんと息子から電話が来たからと、もう洗脳されてしまっていて最初の頃はもう私たちの話も聞いてくれない感じだった」
泉区に住む80代女性
「私も早くお金を渡さなければならないというふうだったから、冷静に話せないよ、その時の様子は。その時なんて慌てているの。足がカタカタ震えてもう」
息子を名乗る男はこうウソをつくように指示していました。「銀行に怪しまれないように息子が事故を起こしたと言えばいいから」
しかし、銀行員歴30年以上の柴田さんは詐欺だと見抜いていました。犯人が指定した電話番号ではなく、女性の息子本人の番号に電話をかけます。本当の息子の話から、すべて事実ではないことが判明。別室で説得し続け、女性はようやく詐欺だと気付いたのです。
山形銀行南光台支店 柴田奈佳営業課長
「本当にギリギリまで息子が事故を起こしたと信じていたみたいなので、安心したっていうか本当に震えだしてもう崩れちゃうみたいな感じでした」
我が子を思う優しい母の気持ちにつけこんだ悪質な手口。
泉区に住む80代女性
「冷静になることだね。冷静になって息子に電話がつながるまで確かめることだね」
粘り強い説得で被害を防いだ銀行員。7月19日、警察は柴田さんと初めに窓口で対応した奥寺睦美さんに感謝状を贈りました。
山形銀行南光台支店 奥寺睦美さん
「お客様に被害がなかったのが一番良かったこと。これからも声かけに努めたいと思います」
山形銀行南光台支店 柴田奈佳営業課長
「詐欺の防止にお手伝いできたことがとてもうれしい」
警察が犯人の捜査を続けています。
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