世界文化遺産の評価を行うイコモスの国内委員会が19日、都内で会見し、福岡県北九州市の公共事業で取り壊される見通しの旧門司駅の遺構について保存の必要性を強調しました。
◆日本イコモス国内委員会 溝口孝司 副委員長
「国史跡指定相当、世界遺産級の遺跡ですが、破壊消滅の危機に瀕しております。初代門司駅遺跡を助けてください」
問題となっているのは、JR門司港駅の東側で見つかった明治期の初代門司駅の関連遺構です。
現地では老朽化した区役所などを集約する複合施設の建設が計画され、北九州市は議会の決定を受けて追加の発掘調査と記録保存を終えた後に建設に着手する方針で、遺構は取り壊される見通しです。
遺構を巡っては複数の学術団体が国の史跡に匹敵する価値があるとして現地保存を求めているほか、6月末にはイコモスが危機的状況を世界に発信するヘリテージアラートにも言及した緊急声明を出しましたが、市はイコモスなどが求める対話には応じていません。
◆日本イコモス国内委員会 溝口孝司副委員長
「いまや北九州市は遺跡価値の評価を行わず、意図的と取られても仕方のない遺跡価値と範囲の矮小化を行いつつ遺跡の破壊へと突き進んでいる」
イコモスは、本来は教育委員会が独立して担うべき文化財保護を補助執行の形で開発行為の当事者である市長部局が行っているのが問題だと指摘し、まずは学術団体や専門家との対話に応じるよう求めました。
◆日本イコモス国内委員会 溝口孝司副委員長
「現代の政治家の方々に求められるのは立ち止まる勇気。(北九州市長には)歴史に対する責任を十分認識してご判断いただきたい」
一方、北九州市は8月から追加の発掘調査に入り年度内には建設に着手する方針で、施設の老朽化は待ったなしの状況であり、市民の安全安心を最優先に進めていきたいとしています。
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