「侵略カレンダー」を持ち支援を訴える小野元裕さん=大阪市西区で2024年7月6日午後2時15分、玉木達也撮影

 ロシアがウクライナに侵攻して2年5カ月がたとうとしている。民間団体としてウクライナとの友好を深める活動に取り組んでいる「日本ウクライナ文化交流協会」(大阪府八尾市)会長、小野元裕さん(54)が「支援を続けて見えてきたもの」というテーマで講演を行った。最も伝えたかった支援の方法とは……。【玉木達也】

 公益社団法人「アジア協会アジア友の会」が主催する「JAFSアジア市民大学」。このプログラムの一つとして6日、大阪市内で小野さんの講演会が開催された。

 小野さんが冒頭に取り上げたのは現在、全国で上映されている外国映画「関心領域」だった。ナチス・ドイツのアウシュビッツ収容所の隣で幸せそうに暮らす所長とその家族。塀の向こう側から銃声や怒声、叫び声が聞こえてくる中、「普通」に過ごす様子から「無関心」が招く悲劇を痛烈に描いた作品だ。

 所長が昇進し引っ越しをすることになるが、豪邸での生活を手放したくない妻は反対し子どもたちとそのまま暮らす。塀の向こうで起きている異常事態に関心を示さない。一方で同居していた妻の母親はこの地を去って行く。

ウクライナに建設した避難所=小野元裕さん提供

 「関心を持つことがいかに大切か。逆に関心がないことがいかに怖いことかを感じた」と話す小野さん。ロシアがウクライナに侵攻後、現地に3回訪問し、避難所建設などに取り組んだ。日本国内では避難民の受け入れ活動や支援コンサートを開催するなどしてきた。

 しかし、気になるのは侵攻から月日がたち一般市民の関心の薄れだ。そこで2024年4月に作製したのがロシアがウクライナに侵攻して何日になるかが分かる「侵略カレンダー」だ。22年から25年までの日付が書かれ、侵攻からの日数が刻まれている。

 小野さんは講演会でカレンダーを持ち「(ロシアが侵攻した)22年2月24日が1日目です。(日付の下に)1と書いています。きょうは7月6日なので864日目です」と指し示した。

 そして「このカレンダーを自宅とかオフィスに張り、きょうで何日、ウクライナは侵略されているのか、知ることが非常に大切だと思います。今、ウクライナで何が起きているのか。関心を持ち続けることこそがウクライナへの支援です」と訴えた。カレンダーは1部100円で販売している。問い合わせは日本ウクライナ文化交流協会(072・926・5134)。

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