新潟地裁に入る新潟水俣病訴訟の原告団=18日午後、新潟市中央区(本田賢一撮影)

水俣病特別措置法に基づく救済策の対象外となった新潟市などの男女約150人が水俣病被害を訴え、国と原因企業の昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償を求めた訴訟で、新潟地裁は18日、提訴時期が早い一部原告47人について判決を言い渡した。島村典男裁判長は、26人を水俣病と認め、同社に400万円を支払うよう命じた。残る19人については罹患(りかん)を認めず、請求を棄却した。

また、水俣病被害が発生し、拡大したことに対する国の責任については「国が予見し得たとはいえない」として認めず、全原告の国への請求は退けた。

47人の原告のうち、残る2人については、公害で健康被害を受けた住民に医療費や補償費を支給する公害健康被害補償法の認定を受け、同社から補償金を受け取っているため、国に対してのみ請求。判決では国の責任は認められず、請求は退けられた。

判決は、島村裁判長が今月1日付で異動したため、後任の鈴木雄輔裁判長が代読した。

全原告149人は、1人当たり880万円の賠償を求めて提訴。最初の提訴は平成25年12月で、その後、追加提訴が相次いだ。今回判決が出た原告は、新潟市や阿賀野市などに住む50代~90代の男女。

訴訟では、原告が水俣病かどうかや、国の責任の有無が主な争点になった。

原告側は、メチル水銀が流出した阿賀野川の魚介類を食べ、手足に感覚障害が出るなどしたとして、水俣病であると主張。

被告側は「(メチル水銀が流出した)阿賀野川の魚介類を食べていた」という主張だけでは、水俣病を発症するほどの水銀暴露は確認できないと反論していた。

同様の訴訟は、東京、大阪、熊本の各地裁でも起こされている。うち大阪地裁は昨年9月、全原告128人を水俣病と認め、国と熊本県、原因企業のチッソに賠償を命じた。一方、熊本地裁は先月22日、一部原告を水俣病と認めた上で、損害賠償請求権が消滅する20年(除斥期間)が過ぎたとして、全原告144人の請求を棄却した。両訴訟で判断が分かれ、新潟地裁の判断が注目されていた。

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