2025年大阪・関西万博に「タイプA」と呼ばれる自前のパビリオンを建設する国が当初の約2割減の47カ国にとどまる見通しになった。万博の開幕を待つ人たちからは「魅力が落ちて残念」「期待感は下がらない」などとさまざまな声が上がり、専門家からは展示内容の充実を求める意見もあった。
万博にボランティアとして参加予定の神戸市の男性会社員(67)は、1970年の大阪万博や2005年の愛知万博も観覧したといい「各国の特色あるパビリオンを巡るのは楽しかった。タイプAの国が減ったことで、万博の魅力が落ちてしまい残念だ」と話す。
男性はボランティアの役割について「補助」としか知らされていないという。日本国際博覧会協会や行政に対して「パビリオン建設などハード面の遅れが、ボランティアの運営などソフト面に影響しないか不安もある。『想定外』のことも含めてスケジュールを逆算すべきで、国や大阪府・市、協会は各国とうまく連携してほしい」と注文をつけた。
期待感もある。「もしボランティアの仕事が海外パビリオンに関係するのであれば、その国のグッズを身に着けたら楽しいだろう。開幕までの9カ月間でその国の言語を勉強して、海外から来た職員や来場者にあいさつができたらいい」と胸を膨らませる。
これまでに国内外の48の万博を訪れ、「万博マニア」としてイベントなどで活動する藤井秀雄さん(65)=大阪市住之江区=は「独自のパビリオンが少し減るのは残念だが、万博への期待感が下がることはない。企業のパビリオンもあり、一日では回り切れない。全部に入るには10日はかかるだろう」と話す。
今後については「161の国や地域が参加し、イベントも多数ある。協会の情報発信はホームページばかりで、興味がある人しか閲覧しない。チラシや掲示板、モニターなど多くの媒体でビジュアルを重視して発信し、機運を盛り上げてもらいたい」と要望した。
万博を研究する関西大の岡田朋之教授(文化社会学)は「タイプAの数はドバイ万博やミラノ万博よりも少ないが、主要国は出展している。(協会が建てた施設を借りる)タイプB、Cで参加する国もあり、万博の盛り上がりは展示内容の充実に左右されるだろう。パビリオンの建設が開幕に間に合うかが懸念されているが、たとえ遅れたとしても、来場者に良い体験を与えることを重視すべきだ。海外での機運醸成に向け、多言語での情報発信が一層求められる」と提言した。【長沼辰哉、藤河匠、井上元宏】
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