リハビリテーションに励む利用者と一緒に歩く介助犬「ジュリエット」=大阪府泉佐野市で2024年5月29日午後1時17分、中村宰和撮影
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 医療チームの一員として働く犬「ファシリティードッグ」を関西の病院に初めて導入することを目指し、日本補助犬協会(横浜市旭区)は17日から、大阪府泉佐野市の医療施設で候補犬の実地訓練を始める。同協会は「入院中の子どもたちに笑顔を届けられるように育成したい」と説明し、クラウドファンディング(CF)で育成費などの支援を募っている。

 患者はファシリティードッグとのふれあいを通し、励まされ、つらい治療に前向きになるという。2010年に国内で初めて導入され、現在、静岡と東京、神奈川のこども病院で4頭が活動する。

ファシリティードッグの候補犬として実地訓練を始める「ティンカ」=日本補助犬協会提供
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 同協会の介助犬「ジュリエット」が23年3月から、難病と闘う泉佐野市の医師で社会医療法人理事長の中村薫さん(68)と暮らし、日常生活を助けている。その縁で、ファシリティードッグの候補犬のラブラドルレトリバー「ティンカ」(雌、1歳)が中村さんの医療施設で実地訓練することになった。

 医療施設には同協会の訓練士が既に常駐し、中村さんの全面的な協力を得て課題の検証を重ねている。ティンカは先輩犬のジュリエットをお手本に訓練に励む予定で、「プロジェクト・ジュリエット」と名付けて取り組む。訓練は、大勢の人がいる医療施設に慣れることから始め、ジュリエットの後ろをついて歩く。訓練士の指示を受け、患者のそばの決められた場所に座ったり、寄り添ったりするほか、車椅子を利用する人と一緒に歩く。訓練期間は半年程度を見込む。

ファシリティードッグの候補犬として実地訓練を始める「ティンカ」=日本補助犬協会提供
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 訓練を続けながら、関西の子ども病院で受け入れ先を探す。中村さんは自身が介助犬とかかわる経験や医師としての立場から「子どもたちは支えられる」といい、同協会の朴善子代表理事は「子どもたちに優しい時間を届けたい。取り組みの意義を知って応援してほしい」と話している。

 CFの目標額は1300万円で、オーストラリアで育った候補犬の導入費、育成や訓練の費用、餌代、訓練士の人件費などに充てる。返礼品はジュリエットの写真のステッカー、補助犬キーホルダーなど。8月31日まで受け付けている。詳細はホームページ(https://syncable.biz/campaign/6084)。【中村宰和】

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