2024年5月、新潟県内を走る朝の満員電車内で女子高校生に対して痴漢行為を行った疑いで19歳の専門学校生の男が逮捕された。男は約45分にわたってわいせつな行為を続けていたという。被害者の心を傷つける痴漢や盗撮行為はどういった場面で発生しやすいのか。そして、どんな対策が取れるのか取材した。
満員電車内で約45分にわたって痴漢行為
5月17日、午前8時24分ごろ~午前9時10分までの間、信越線・下りの新潟行きの電車内で、乗客である女子高校生のスカート内に手を差し入れ、わいせつな行為をした不同意わいせつの疑いで新潟市西蒲区に住む専門学校生の男(19)が逮捕された。
この記事の画像(6枚)警察によると、男が犯行に及んだのは加茂駅付近から新潟駅までの間で、わいせつな行為は約45分にわたって続けられていたという。
事件は同じ電車に乗り合わせ、犯行を目撃していた人が被害者の女子高校生を連れて、新潟駅構内の鉄道警察隊に被害を届け出たことで発覚。防犯カメラ映像や目撃者の証言などから男を特定し、犯行から約1カ月後に逮捕に至った。
警察によると、当時は天気が悪く電車内が混雑していて、男は女性の背後に立っていたという。警察の調べに対し、男はおおむね容疑を認めるも、一部の行為については否認している。
警察は男が自身の性的欲求を満たすために犯行に及んだとみて、事件の詳しい経緯や動機、他にも余罪がないかなど詳しく調べている。
痴漢や盗撮 注意すべき場所や時間帯は?
新潟県警人身安全対策課によると、こうした痴漢などの多くは被害者が届け出をしなかったり、行為者を見つけられなかったりすることから表面化するのは一部だという。
また、本人が気付かずに被害に遭っている盗撮事件なども後を絶たない。被害者の心を深く傷つける痴漢や盗撮。
2021年以降の直近のデータを見ると、新潟県では痴漢の主な発生場所は電車やバスなどの「乗り物内」が多く、次いで「商業施設内」での犯行が多くなっていた。
盗撮の主な発生場所としては「駅構内」や「乗り物内」に比べて「商業施設内」が圧倒的に多かった。また、盗撮に関しては主な発生場所以外では、自宅での入浴中などにも発生しているほか、SNSやインターネット上での画像のやりとりが行われて被害に遭うケースもあるという。
警察庁などのデータによると、「痴漢」は通勤時間帯や帰宅時間帯を狙っての犯行が多い傾向にあり、発生場所では電車等の乗り物内が圧倒的に多く、対して「盗撮」は商業施設や駅構内の階段やエスカレーターなどの場所で被害に遭いやすいという。
被害に遭った場合・目撃した場合の対処法
では、実際に痴漢や盗撮などの被害に遭った場合や、被害を目撃した場合にはどのような対策が取れるのだろうか。県警人身安全対策課は次のように呼びかけている。
「痴漢や盗撮は誰もが被害に遭う可能性があり、かつ被害者の心身を深く傷つける重大な性犯罪であり、決して許されるものではない。また、被害に遭った時の服装や時間帯を含めて被害者を責めるべき点は一切ない。しかし、万が一被害に遭ったり、痴漢被害を目撃した場合には声を出したり、周りの人に助けを求めた上で身の安全を確保し、ためらわずに警察への通報をお願いしたい。早期に行為者を特定し、検挙または指導・警告を行うなど先制予防活動を積極的に推進していく」
また、県警の鉄道警察隊には女性警察官も在中しているので、被害に遭った際には1人で悩まず、相談しやすい相手に相談や届け出をしてほしいとしている。
“防犯アプリ”の活用も有効な手段
実際に被害に遭った際には声を出すのも難しい場合があることから、都道府県警で配信している「防犯アプリ」の活用も有効だ。
防犯アプリではスマートフォンの画面上に「痴漢です。助けてください」と表示することができたり、自動音声で「助けてください」との音を発する機能が備わっていて、自分で声を出さなくても周りの人に助けを求めることができる。
また、痴漢被害に遭っているかもしれない人を見かけた場合には「痴漢されていませんか?」という表示画面を見せることで、助けが必要かどうかを確認できる機能もついている。
被害者の尊厳を踏みにじり、心に深い傷を負わせる痴漢や盗撮。一人でも被害に遭う人が少なくなるように、社会全体で防犯意識を高め、助け合っていくことが重要だ。
(NST新潟総合テレビ)
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