警視庁は新社会人らに投資詐欺被害防止を呼び掛けた=17日、東京都港区(橋本愛撮影)

「貯蓄から投資へ」の動きが進む中、収入を得て投資を始めるきっかけも生まれやすい新社会人が投資詐欺に巻き込まれるのを防ごうと、警視庁生活経済課は17日、キヤノンマーケティングジャパン(東京都港区)で、同社の新入社員ら約180人に講演を行った。

警視庁の担当者は、交流サイト(SNS)で勧誘する「SNS型投資詐欺」や、学生時代のつながりで勧誘しマルチ商法的に広がる投資詐欺などの手口を紹介。若者が消費者金融で多額の借金を抱えたり友人関係が破綻したりしたケースもあるとし、「投資は余剰金で行って、給料全てをつぎこまないで」と呼び掛けた。

生活経済課の半田正浩課長は「経済知識が少ない若者は狙われやすい。将来不安をあおり一獲千金をうたう投資詐欺には注意してほしい」と話した。

政府が後押しする新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、日経平均株価も史上最高値を更新するなど、投資への関心は高まる。投資を始める若者が増える一方、詐欺被害に遭うケースは後を絶たない。

警察庁によると、投資勧誘を装って出資金などをだましとる「利殖勧誘事犯」の令和5年の相談件数は3155件で、元年の1560件から大幅に増加した。20~30代からの相談は25%で、1割に満たなかった令和以前と比較し、増加傾向にある。

ファイナンシャルプランナーの藤原久敏氏は、「若者が漠然とした将来不安から仕事以外に収入源を確保しようとして投資を始め、トラブルに遭うケースが増えている」と話す。投資を促す動きが加速する中で、若者はSNSで「必ずもうかる」などとうたう情報の波にさらされていると指摘。その上で、「都合の良い情報には自分で疑問を持つことや、社会に金融教育が広まっていくことが求められる」と話した。(橋本愛)

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