総務省行政評価局は21日、全国にあるため池の防災対策に関する初の調査結果を公表した。豪雨などで人的被害を引き起こすおそれがあるかの検討が不十分な事例や、決壊した場合の浸水情報が隣接する自治体の住民に提供されていない事例が示された。総務省はさらなる状況確認やハザードマップの点検などの対策をため池を所管する農林水産省に要請した。
調査は11府県・66市町村の計660カ所のため池を対象に実施。決壊した場合に周辺に被害が出るおそれのある「防災重点農業用ため池」に指定する必要があるかなどを確認した。
報告書によると、すでに多くが「防災重点農業用ため池」に指定する必要性が認められていた一方で、3市町村のため池13カ所については「普段は水が入っていない」などの理由で十分な検討がされていなかった。指定の必要性を市町村に定期的に確認していない県もあった。
ハザードマップについては61市町村が「作成済みもしくは作成中」だったが、ため池が決壊した場合に4メートル近く浸水する避難場所を何の注釈も付けずにハザードマップに掲載しているケースもあった。
ため池は農業用を中心に全国に約15万カ所あるが、その多くが江戸時代以前に造られていて、劣化が進んでいる。近年は、豪雨などによる決壊が頻発。国は2020年、都道府県知事に対して、「防災重点農業用ため池」を見つけて、防災工事などの推進計画を策定するよう求めた。【安部志帆子】
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