証人尋問後の記者会見で、捜査に関わった検事らの姿勢を批判するプレサンスコーポレーション元社長の山岸忍氏(手前)=大阪市北区で2024年6月18日午後0時50分、高良駿輔撮影

 大阪地検特捜部が捜査した業務上横領事件で違法な捜査があったとして、無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)元社長の山岸忍氏(61)が国に賠償を求めた訴訟の口頭弁論が18日、大阪地裁であった。捜査を指揮した主任検事が2度目の証人尋問に応じ、「有罪を得られると思っていたが、無罪となったことは真摯(しんし)に受け止めている」と述べた。

 特捜部は2019年、学校法人が土地売却で得た手付金を着服した疑いで山岸氏を逮捕、起訴した。検事は尋問で「証拠や供述から有罪判決を得られると思った」と正当性を主張したうえで、「結果的に無罪となり残念だ」と述べた。

 尋問で山岸氏は「上司や上級庁に報告して逮捕状を請求したのか」と直接質問。これに対し、検事は「必要な証拠、供述は全て上司に伝えている」と説明するにとどめた。この検事は部下から山岸氏の逮捕を待つよう進言を受けたとされているが、1度目の尋問で「記憶にない」と答えていた。

 この日で3日間に及ぶ検事4人の証人尋問が全て終わった。閉廷後の記者会見で山岸氏は、自らの関与を強調する検事らの姿勢について「名誉毀損(きそん)だと思う」と批判した。代理人の中村和洋弁護士は「検事が『差し控えます』と答えを拒否するのは不誠実で、事件に向き合っていないと言わざるを得ない」と指摘した。【木島諒子、高良駿輔】

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