参院本会議=国会内で2024年4月12日、平田明浩撮影

 外国人技能実習に代わる新制度「育成就労」の創設を柱とする改正関連法が14日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。人手不足の分野で未熟練の外国人労働者を受け入れ、中長期にわたって日本で就労する人材を育てる。日本で働く外国人労働者の増加につながるとみられ、2027年の制度開始が想定されている。

 技能実習は、途上国の外国人が日本で働きながら技能を学ぶ制度で1993年に始まった。最長5年、90職種で受け入れ、2023年末現在、約40万人が就労している。国際貢献を制度目的に掲げるが、実態は低賃金の外国人労働者を受け入れる窓口になっているとの批判があった。

 育成就労は、受け入れた外国人労働者を原則3年間で、即戦力レベルの技能が求められる在留資格「特定技能1号」の水準に育てることを目指す。熟練した技能が必要な「特定技能2号」の試験に合格すれば、家族帯同の無期限就労が可能になる。技能実習は廃止される。

 技能実習と特定技能は受け入れ分野に違いがあったが、育成就労と特定技能は分野を一致させる。このため、外国人労働者は日本で中長期的にキャリアアップしやすくなるとみられる。

 技能実習では「技能を継続して学ぶため」として、同じ仕事の範囲内で職場を変える「転籍」は原則3年間は認められなかった。育成就労では転籍制限を1~2年に緩和し、職場を選別しやすくした。

 育成就労と特定技能の一体運用によって、永住者が増えていくことが見込まれる。このため改正法には、税金や社会保険料を故意に支払わない永住者について、永住許可を取り消せるようにする規定が入った。【三上健太郎】

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