学校イメージ=ゲッティ

 小中学校で学校給食の完全無償化を実施しているのは、2023年9月時点で全国1794自治体のうち3割にあたる547自治体だったことが、文部科学省が12日に公表した調査結果で明らかになった。前回調査(17年度)の76自治体から6年で7倍に増えた。文科省は、コロナ禍で高まった保護者の経済的負担を軽減しようとした自治体が急増したとみている。

 給食無償化の実施条件や経緯を全国の教育委員会から聞き取った。無償化を実施中と回答したのは722自治体で、このうち547自治体が小中学校の全員を対象にしていた。条件を付けて実施しているのは145自治体、「その他」が30自治体だった。条件は「多子世帯を対象」が135自治体で最も多く、「一部の学年に限定」「所得制限を設定」とした自治体もあった。

 無償化の財源を複数回答で尋ねたところ、475自治体が自己財源を充てているとし、233自治体は新型コロナウイルス対策として国が創設した地方創生臨時交付金を挙げた。保護者の経済的負担の軽減や、学校の給食費徴収事務・未納者対応の負担軽減を成果として挙げる自治体が目立った一方、予算の確保を課題とする自治体が多かった。

 23年5月時点で給食提供を受けていない児童生徒数も調べ、給食がある学校で約28万5000人が提供を受けていないことも判明。アレルギー対応や不登校のほか、一部の学校で給食か弁当かを選べる仕組みがあることが理由とみられる。

 小学校の給食費の平均月額を都道府県別に食材費ベースでみると、最も高い福島県が5314円、最も安い滋賀県が3933円で約1・4倍の開きがあった。公立学校の年間給食費の合計は試算で約4832億円に上るという。

 給食費を巡っては、少子化対策を念頭に国が無償化を主導すべきだとの意見が根強い。文科省の担当者は「地域によって給食費が違い、給食を食べていない子もいる中で、国と地方でどう役割を分担すべきか分析する必要がある」と述べた。【斎藤文太郎】

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