福岡県警本部=福岡市博多区で

 海外を拠点に日本国内の特殊詐欺事件に関与したなどとして、福岡県警は11日、フィリピンから強制送還された鹿児嶋孝之容疑者(55)を窃盗容疑で逮捕した。捜査関係者への取材で判明した。鹿児嶋容疑者は、元暴力団組員らがフィリピンで組織した「JPドラゴン」と呼ばれるグループのメンバーで、全国で広域強盗事件を起こしたとされる「ルフィ」グループとのつながりが疑われている。県警が逮捕状を取り、フィリピン当局が3月に鹿児嶋容疑者の身柄を拘束していた。

 捜査関係者によると、鹿児嶋容疑者は複数の人物と共謀の上、日本国内の被害者方にうその電話をし、受け取り役を被害者と接触させてキャッシュカードを盗んだ疑いが持たれている。

 強制送還された鹿児嶋容疑者は11日午後3時過ぎ、マニラ国際空港から成田国際空港に到着。福岡空港には同日夜に到着し、移送が完了する見通し。特殊詐欺グループは近年、警察の摘発を逃れるために海外に拠点を移しており、県警は全容解明を目指す。

 JPドラゴンの名は、「ルフィ」事件の指示役とされた今村磨人(きよと)被告=強盗致死罪などで起訴=とのつながりが判明し、知られるようになった。今村被告と接見した弁護士が、スマートフォンを使ってJPドラゴンの幹部数人との会話を仲介した疑いが浮上。警視庁は24年3月、この弁護士を証拠隠滅容疑で書類送検したが、東京地検は不起訴処分とした。【佐藤緑平】

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