「あなたは一人じゃないんだよ」-。北谷町の栗原涼子さん(45)が早産などで小さな体で生まれた赤ちゃん用の肌着を作る会社を立ち上げ、悩める親を支援する活動に力を入れている。県内は2500グラム未満の低出生体重児の割合が全国でも高い一方、小さな体に合った肌着は手に入りにくい。ぶかぶかの服を着たわが子を見て自身を責め、誰にも相談できなかった経験から「同じ境遇の人が一人でも笑顔になればうれしい」と意気込む。(社会部・下里潤)

 栗原さんは2015年7月、妊娠24週目で第1子となる雄(ゆう)さんを出産した。体重676グラム。突然の出来事に母となった実感が持てず、新生児集中治療室(NICU)に入った手のひらサイズのわが子を見つめる日々が続いた。母乳の出も悪く「今の私にできることは母乳を届けることだけなのに」と、罪悪感や不安感に襲われた。

 退院時はさらに気分が落ち込んだ。本来なら喜びでいっぱいのはずが、ぶかぶかの服に小さな体が際立って見えた。「本当にごめん」。看護師や家族から誰の責任でもないと諭されても「母親失格」の念は拭えなかった。

 それから7年。元気に育った雄さんが小学校へ通う姿を見て当時を振り返られるように。「同じ境遇の人の力になれないか」と裁縫教室に通い、試行錯誤で30センチサイズの小さな肌着を製作して、病院に寄付するようになった。

 母親同士の交流の中で、沖縄の現状も知った。21年の人口動態調査で2500グラム未満で出生する割合は全国で2番目に高い11・1%。全国で約7万6千人、県内で約1600人もの低体重児が生まれていた。

 そんな時、夫で行政書士の恒雄さん(48)から「仕事として続けた方が、より多くの人に肌着を届けられるのでは」とアドバイスを受け、昨年12月に会社「エンジェリン」を立ち上げた。NICU入院中は母子一緒に生活できず精神的に不安定になった経験から、赤ちゃんのことを思いながら作業できるよう手縫いのキットを提供することにした。

 「正直、お金を頂いていいのか葛藤もある。でも、リトルベビーのママにも、わが子にかわいい服を着せてあげる権利はある。どんなに不格好に仕上がっても世界で一枚だけの服になるはず」と力を込めた。

 手縫いキットは1600円。完成済みの肌着は2200円。詳細はQRコードから。問い合わせはメール、babylove.ryokok@gmail.com

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