冨永紗菜さんが刃物で刺されて倒れているのが見つかったマンションの敷地内を調べる捜査員ら=横浜市鶴見区で2023年6月29日午後0時51分、本社ヘリから幾島健太郎撮影

 昨年6月、横浜市鶴見区で元交際相手の女子大生を殺害したとして殺人罪などに問われた配送業、伊藤龍稀被告(23)=横浜市鶴見区=の裁判員裁判の初公判が10日、横浜地裁(西野吾一裁判長)であった。伊藤被告は起訴内容を認めた。

 起訴状によると、2023年6月29日、横浜市鶴見区のマンション敷地内の車両用通路脇で、大学1年の冨永紗菜さん(当時18歳)の首や胸、腹を包丁で4回突き刺し、殺害したなどとしている。

 検察側の冒頭陳述によると、冨永さんは6月22日以降、伊藤被告の暴力などが原因で交際解消を求めていたが繰り返し復縁を迫られていた。28日夜には伊藤被告が冨永さんのアルバイト先を突然訪問。冨永さんが父を介して「復縁の可能性はゼロ」と伝えたところ、伊藤被告は翌朝、犯行に及んだ。

 伊藤被告が車で犯行現場に向かう際、ドライブレコーダーには「必ず刺さないと。未遂で捕まったら紗菜がハッピーなだけ」との独り言が記録されていたという。検察側は「包丁で脅せば復縁できるかもしれないと考えた。だめなら殺そうとした」と指摘した。

 弁護側は、「殺人は突発的だった。脅して戻ってきてもらおうとした」と主張した。【横見知佳、宮本麻由】

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