世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者から違法な勧誘を受けて献金被害に遭ったとして、元信者の女性の遺族が教団側に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は10日、遺族側と教団側から意見を聞く弁論を開いた。女性が献金後に教団に差し出した「賠償請求しない」とする念書について、遺族側は「無効」、教団側は「有効」と主張し、結審した。判決は7月11日。
1、2審は念書の有効性を認め、遺族側の訴えを退けたが、弁論は2審を見直す際に必要な手続きのため、最高裁は2審判決を見直す可能性がある。教団への献金を巡る念書の有効性や勧誘行為の違法性について最高裁が初めて判断する見通し。
1、2審判決によると、長野県に住んでいた女性(2021年に死去)は05~10年ごろ、信者の勧誘を受けて教団側に約1億円を献金。15年に教団に念書を渡し、約半年後に認知症と診断された。1、2審とも勧誘の違法性も否定した。
遺族側は10日の弁論で、女性が信者から「地獄で先祖の霊が苦しんでいる」と不安をあおられ、献金したと主張。念書は教団が賠償責任を免れる不当な目的で作成したと訴えた。
一方の教団側は、女性が教団の教義を真摯(しんし)に信仰していたと反論。女性が教団に献金をしたのも、念書を書いたのも、いずれも自らの意思に基づくものだったと述べた。【巽賢司】
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