大阪湾で死んだクジラの処理で、大阪市が当初試算の倍以上の金額で海運業者と随意契約した問題で、市入札等監視委員会(委員長、森本浩久・大阪府警察信用組合理事長)は7日、処理を担当した大阪港湾局の職員(当時)と業者との関係や契約手続きを巡って、6項目にわたる問題点を指摘する意見を公表した。
港湾局の経営改革課長(当時)は、内規に反して契約交渉の期間中に業者側と会食していた。監視委はこの点について「職責に鑑みると、看過できない重大な問題」と指摘。交渉の場での課長の対応についても「契約相手方に立って、業者が合意できる金額に近づける議論に終始したと受け止められても仕方がない」などと問題点を挙げた。
契約手続きにおいては、価格を決める根拠資料が不足していたほか、意思決定過程を記した公文書も確認できなかった。監視委はこの点について「価格の積算根拠や契約金額に疑義が残る」と言及。港湾局に対して、内規違反などの実態を調査し、改善結果を報告するよう求めた。
有識者4人からなる入札等監視委は、2月から審議していた。
市などによると、雄のマッコウクジラは2023年1月9日、淀川河口付近で見つかった。全長約15メートル、体重約40トンで「淀ちゃん」と呼ばれたが、同13日に死んでいるのが確認された。
死骸にガスがたまり爆発のおそれがあるとして、市は処理を急ぎ、市内の海運業者に海洋沈下を依頼。業者は同19日、作業船で紀伊水道沖に運んで沈めた。市は緊急性や特殊性が高いなどとして、競争入札や同業者への相見積もりを経ない形の随意契約を選んだ。
1月15日の事前打ち合わせで、業者は約2000万円と費用の概算を伝えたが、2日後には約6000万円を提示した。クジラを処理後の同25日、業者は8625万円の見積書を提出。一方、港湾局は3月初めまでは2000万~4000万円台で試算していたが、同31日にその2倍超の8019万円で契約した。
毎日新聞が入手した市の内部文書では、経営改革課長が3月25日、「私の感覚では、できれば8000万円で持って行くべきだ」と局長らにメールで進言していた。【長沼辰哉、鈴木拓也】
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