ここ数年、高価な盆栽を盗まれる事件が増えていて、関西でも被害が相次いでいます。

盆栽は、樹齢の長さや、形の美しさで値段が変わり、職人たちが何十年、長いもので百年以上かけて育てたものは「高級盆栽」として販売されます。

全国の盆栽事業者でつくる日本盆栽協同組合によると、高級盆栽を狙った窃盗事件が2023年12月以降、全国で相次いでいるといいます。

一体、なぜなのでしょうか。


■ベトナムなどで盆栽の需要が高まっている

ことし4月、530万円相当の盆栽を盗んだ疑いで、ベトナム国籍の日本語学校の学生(20)ら2人が逮捕されました。

さらに5月、別の盆栽の窃盗容疑でベトナム国籍の男が逮捕されています。

ある盆栽園の関係者によると、ここ数年、中国や東南アジア、特にベトナムで盆栽の需要が高まっているということです。

日本盆栽協同組合によると、盗まれた盆栽の写真が海外のサイトに掲載されていた例があり、相次ぐ窃盗事件は国外での売買が目的とみられます。


■客に育て方のアドバイスなどして販売するスタイルだが…「誰を見ても泥棒に見える」

【記者リポート】「盆栽の窃盗事件は関西でも起きています。大阪にあるこちらの盆栽園は、ことし3月に被害に遭いました」

盗まれたのは、職人が手塩にかけて育ててきた複数の盆栽、合わせて800万円相当です。被害を受けた盆栽園の職人の男性は次のように嘆きます。

【盆栽園の職人】「自然の縮図。小宇宙を作りたいんです。何十年のスパンで育てている。一朝一夕でできるものではない」

ことし3月の深夜、犯人たちは、人が通らない、川沿いの茂みから金網を破り、侵入しました。

【盆栽園の職人】「ここにあったものを軒並み持っていかれました。商品盆栽といって、小さい盆栽、20センチとか25センチぐらいの小さなやつで、年数がかかっているから高価」

事件をきっかけに約800万円かけて、防犯カメラや警報機などをリニューアルしました。

職人の男性は、客に育て方のアドバイスをして販売するスタイルをとってきましたが、事件以降はこんな気持ちに…

【盆栽園の職人】「誰を見ても泥棒に見えちゃうんですよ。『あの人、何も買わない』となると、泥棒に見えちゃってね。人を疑うのは悪いなと思うんですけど、誰やねん、こんな悪いことするのはっていう思い」

犯人は今もつかまっておらず、警察の捜査が続いています。

■「盆栽にICタグ・GPS発信機などをつける対策を」

何年もかけて手塩にかけて育てたものを、その作られた方の気持ちを踏みにじる行為は許せません。

【関西テレビ 神崎博報道デスク】「盆栽は室内で保管するには向いておらず、屋外に置かざるを得ません。これだけ被害が出ていると、ある程度盗まれることを前提に対策を取らないといけません。防犯カメラや警報器などの対策がありますが、だいたい取られるのは、小型で高額なものが多いので、そういうものに例えばICタグをつけるとか、GPS発信機を付けるとかで盗難された後に追跡できるようにするなどすれば、犯罪グループに近づける可能性もありますので、そのような対策が必要だと思います」

被害にあった大阪の盆栽園の方は、「弁済よりも、盆栽そのものを返してほしい」と切実に訴えています。

(関西テレビ「newsランナー」2024年6月4日放送)

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