6月1日は、国連が提唱する「世界牛乳の日」。

日本では、酪農家の8割が赤字経営という深刻な問題を抱える中、おなかがゴロゴロしにくい新しい牛乳が酪農業の救世主として期待されている。

東京都内では、期間限定の牧場体験イベント「五感で楽しむ! サステナブルな酪農パーク」が開かれ、多くの家族連れでにぎわった。

牛の模型を使った乳搾り体験では、初めての乳搾り体験で子どもたちは楽しそうだった。

リサイクルできる牛乳やヨーグルトのパックで遊びながら、身近にリサイクルが体験できるスペースもある。

さらに、生乳から作られたヨーグルトの試食もできる。

株式会社カネカ 販促企画チーム・森下淳さん「楽しく酪農を学びながら、子どもたちや大人たちにも牛乳のこと、酪農のことを知ってもらいたいということでイベントを企画しました」

コップ1杯で、成人女性に必要な1日のカルシウム消費量の3分の1が摂取できるという牛乳だが、1990年代をピークに消費量は低迷している。

こうした中、今注目されているのが「A2ミルク」と呼ばれる新しい牛乳だ。

「A2ミルク」について、東京農業大学の応用生物科学部・岡大貴准教授に聞くと、「簡単に言うと、おなかがゴロゴロしにくい牛乳。おなかが痛くなることから牛乳を飲まない方も多いと思うが、そういった方が安心して飲める」という特徴があるという。

乳牛には、もともと「A1型」と「A2型」と呼ばれる牛乳のタンパク質を作る2種類の遺伝子があり、A1型はおなかをゴロゴロさせてしまう原因とされる一方、A2型の方はゴロゴロしにくいとされている。

このA2型だけのミルクが、「A2ミルク」として注目されている。

首都圏や近畿圏エリアに310店舗を展開するスーパーでは、売り上げ好調のため、2024年3月からA2ミルクの種類を2種類に増やして販売。

この日の店頭価格は、税込み1本321円と429円で少し高いが、売り上げは上々だという。

株式会社ライフコーポレーション 広報部 課長・小川啓さん「普段なかなか牛乳を飲んでこなかった方々にウケているのかなと思う」

新しい牛乳の登場に、生産者も期待を寄せている。

北海道・富良野市で120年にわたって酪農を営む藤井牧場では、A2ミルクを出す乳牛約1500頭を育てる一方、5代目の藤井雄一郎さんは、酪農家や専門家の仲間とともに業界団体を立ち上げ、普及活動に努めている。

日本A2ミルク協会 代表理事・藤井雄一郎さん「ウクライナ戦争や円安の影響で飼料価格が高騰し、酪農家の8割が赤字というふうに言われている。A2ミルクは酪農業界の救世主になりうると思って活動している」

学校給食への提供もスタートしているA2ミルク。
酪農業界の救世主として、全国的な普及を目指している。

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