国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防で仕切られた有明海(右)と調整池=長崎県諫早市で2023年3月2日午後5時30分、本社ヘリから

 国営諫早湾干拓事業(諫干)を巡り、農林水産省は1日、2010年に福岡高裁が国に潮受け堤防の開門を命じた判決(確定)で原告だった漁業者らを対象に、有明海の再生に関する説明会を長崎県雲仙市で開いた。同省が非開門を前提とした話し合いに応じるよう求めたのに対し、漁業者側は開門の必要性を訴え、議論は平行線に終わった。

 10年の判決は国が起こした請求異議審で23年3月に「無効化」が確定し、潮受け堤防の開門はなくなった。これを受け、野村哲郎農相(当時)は有明海再生に向けた国や自治体、漁業者、農業者らによる「話し合いの場」を設けた上で、関係者の意見を踏まえて「必要な支援を講じる」とする談話を出していた。

 この日の会合で、農水省の担当者は「開門は選択肢として考えられない」と説明。一方、漁業者側は「開門せずに、どうやって海を再生するのか」などと訴えた。【松尾雅也、松本美緒】

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