大久保小の児童に命の大事さについて話す黒田優一校長=長崎県佐世保市で2024年6月1日午前9時36分、吉田航太撮影

 長崎県佐世保市で小学6年の女児が同級生に殺害された事件から20年となる1日、現場の市立大久保小学校(黒田優一校長、全校児童110人)で「いのちを見つめる集会」があった。児童や教職員は12歳で亡くなった女児を悼み、命の尊さをかみしめた。

 事件は2004年6月1日、給食準備中の校内で起きた。御手洗怜美(さとみ)さん(当時12歳)が友人の女児(同11歳)にカッターナイフで切りつけられ、亡くなった。

 黒田校長は集会で「一度なくした命はやり直したり、ゲームのようにリセットしたりできない。自分も周りの人も命は一人に一つ。命を大切にして今を一生懸命生きよう」と講話。全員で黙とうした後、児童が学年ごとに考えた命の重さや人権への思いを発表した。集会後、黒田校長は事件現場となった学習ルームを改修した「いこいの広場」で献花し、合掌。集会参加者が持参した花などを供えた。

 事件を受け、同市は6月を「いのちかがやく強調月間」、同1日を「いのちを見つめる日」と定め、市内の全小中学校で命をテーマにした集会を開くなどの取り組みを続けている。

 しかし、市内では14年7月、高校1年の少女が同級生の少女に殺害される事件が発生。取り組みの形骸化を指摘する声もある。【綿貫洋】

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