水位低下問題について、JR東海に適切な対応を求める岐阜県瑞浪市の水野光二市長=瑞浪市役所で2024年5月30日午前11時0分、太田圭介撮影

 岐阜県瑞浪市のリニア中央新幹線トンネル工事現場付近で井戸水位などが低下した問題を巡り、同市の水野光二市長は30日の定例記者会見で、事業主体のJR東海が水位低下の公表後もトンネル掘削工事を続けようとしたことについて「正直言ってびっくりした」と批判した。

 この問題では、瑞浪市大湫(おおくて)町で井戸など14カ所の水位が低下していることが判明している。しかし、同社は問題発覚後も「湧水(ゆうすい)が見られる軟弱地盤で工事を止めると落盤事故などの危険がある」として約100メートル先の安定した地盤まで掘削を続行。その後、丹羽俊介社長は5月16日の定例記者会見で初めて水位低下の問題を明らかにした上で、さらに約200メートル先の大湫盆地の手前まで掘削し、地質確認のために水平ボーリング調査する方針を示していた。

 これに反発した水野市長は翌17日、工事中断を求める意見書を同社に提出。5月になるまで情報が十分に届いていなかった岐阜県や地元住民からも批判が起こり、同社は工事の即時中断を余儀なくされた。

 同社の対応について水野市長は「大問題が起きているにもかかわらずJR東海は一旦、掘削を続けるとした。200メートル掘るのに約4カ月はかかる」と不信感をあらわにした。

 水野市長は水位低下の事実を県に報告していなかったが、この点を問われると「JR東海が(県に)報告すべきだ」と主張。一方で「古田肇知事にも『早く情報を上げてほしかった』と言われた。判断ミスがあったと反省している」と述べた。

 現在ストップしている掘削工事の再開条件について水野市長は「市は専門的な判断材料を持っていない。県とJR東海との協議で決めてほしい」と述べた。【太田圭介】

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