29日夜、埼玉・川口市幸町の閑静な住宅街で、路上に駐車したタクシーの中で、72歳の運転手が、50~60代とみられる男から「金を出せ」などと脅され、拳銃のようなもので腹部を撃たれた。
運転手の命に別条はない。

捜査関係者によると、男は赤羽駅周辺でタクシーに乗り、現場近くに行くように指示して、運転手を撃ったあと南の方向に逃走したことがわかっている。

この事件について、「車内で一体何が起きていたのか」、「何で拳銃を持っていたのか」、「現在逃走中だが捜査はそこまで進んでいるのか」の3つのポイントを、フジテレビ・上法玄解説委員とくわしく見ていく。

──タクシーの強盗で拳銃を発砲するというのはあまり聞かないように思うが?
強盗目的で、拳銃を脅す道具に使うケースは多々あるが実際に人に向けて発砲するというケースは極めて珍しいと思います。

──どのような状況で発砲した?
タクシードライバーのおなかに、少なくとも1発発砲しているが、付近の防犯カメラ映像によると、車が現場付近を通ってから発砲音がするまで1分くらいしかかかっていないと。
犯人は極めて短時間のうちに発砲にいたったといえると思います。
また、「タクシーの内側から殴っている人がいる」という目撃情報もあったということから、タクシーから犯人が降りる際にちょっと手間取った可能性もある。

──なぜ拳銃を持っていたのか、どうやって入手したのか、犯人像は見えてきている?
拳銃を入手するのは極めて難しいといわれてるんです。そうなると、暴力団組員あるいは暴力団関係者の可能性があるといえると思います。
近年、暴力団撲滅に向けた警察の捜査というのは非常に厳しくなって、暴力団をやっていても生活できないという人がかなり増えているということもあり、組織から離脱する暴力団組員が年々増えている状況。
今回の男も50代から60代ということですから、組織から離脱して社会復帰するタイミングを逸してしまった暴力団組員の可能性もあるのではないかと思います。

──現在も逃走中ということだが、捜査はどういう状況?
埼玉県警は今回の事件について、捜査員60名態勢で捜査すると発表しています。この態勢は比較的大規模といえると思います。
男がタクシーに乗り降りしたのが赤羽と川口という繁華街ですから、防犯カメラが無数にあります。入手した映像を分析して、犯人の動きをたどって、犯人がどこへ逃げたのかの足跡と、犯人がどこから来たのかの前足を徹底的に調べて、できるだけ早く犯人を逮捕して、社会不安を払拭(ふっしょく)したいという意気込みがこの「60名態勢」という部分からうかがえます。

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