福島県西郷村の盛り土問題について捜査のメスが入った。山のようにうず高く盛られた大量の土砂。西郷村で去年から問題となっていた土砂の山を巡り、警察は茨城県の会社役員の男を逮捕した。

5月23日午前10時ごろ。
茨城県のつくば警察署からひとりの男を乗せた捜査車両が出てきた。福島県内で初めて盛り土を巡る事件で逮捕された茨城県の会社役員・長嶺嗣義容疑者(59)だ。

福島テレビ・矢崎佑太郎アナウンサー:「山林を飲み込むように大量の土砂が盛られた状態となっています。そして、現場にはこの土砂を運び込む際に使った重機の跡のようなものも残っています」

大量の土砂が盛られている現場は、西郷村真船地区。
土砂の中にはゴミも混ざっている。場所は国道289号線の近くにある山林。これまで関東ナンバーの大型車両が出入りし、土砂を運び込む様子が目撃されていた。
近くの住民は「夜中の12時ごろから並び始まって、2時3時から下ろし始めると、道路沿いの住民は夜中エンジンかけたまま待機するのでうるさいという状況でした」「あっという間でしたよ。(トラックが連なって)ずっと夜中中走ってますから、朝方までずっと」などと話す。

災害への不安を募らせる住民の声を受けて、西郷村は2023年12月独自に盛り土などを規制する条例を制定。今後の対応などについて福島県との協議を続けている。

逮捕された長嶺容疑者は、大量の土砂が確認された土地の所有者で、県知事の許可を得ずに1ヘクタールを超える盛り土などの開発をした上、県の中止命令に従わなかった疑いが持たれている。

福島テレビ・安齋遥介記者:「茨城県つくば市です。長嶺容疑者は栃木県など他県でも、土砂の運び込みで行政処分を受けていました」

土砂の処分を請け負う会社を経営する長嶺容疑者。
栃木県の那須烏山市や日光市など複数の自治体でも大量の土砂を許可無く運び込み、撤去命令などの行政処分を受けている。
長嶺容疑者は調べに対し、容疑を一部否認していて、警察は家宅捜索で押収した資料などから裏付け捜査を進めている。

<盛り土の現場から中継>
盛り土を巡る今回の事件。改めて現場はどういう状況なのか?矢崎アナウンサーが伝える。

奥に見える土砂の山、付近の方の話では以前は沢のようになっていた場所にみるみるうちに高く土が盛られていったそうだ。この土砂を巡っては警察の捜査が進められるが、近くの住民の方からは一刻も早い撤去などを求める声が聞かれる。
地区の区長は「ゲリラ豪雨とかそういうのになったら崩れちゃうのではないか。1日でも早く、近くの住民が安心して暮らせるようにどっか運べるところがあれば運んでほしいですよね」と話す。近くの住民も「最初から心配はしてた。元通りになってほしい。心配だよ雨が降ったら」と不安を隠さない。

ーー住民の皆さんが心配されることは当然のこと。土砂は今後撤去される?
福島県によると、時期は未定だが、長嶺容疑者に土を減らしたり崩れないようにしたり行政指導で復旧を求める方針。そのため、土砂は今すぐになくなるわけではなく、この状況が続くとみられる。
西郷村では、今回の現場の他にも2カ所で大量の土砂、盛り土を把握している。これらについても県と連携して解決に向けた対応を進めている。

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