NHKは22日、番組のネット配信を「必須業務」に格上げする改正放送法が今月成立したことを受け、年200億円としていたネット業務の費用上限について、なくすことを検討する考えを示した。同日にあった稲葉延雄会長の定例記者会見で、記者の質問に小池英夫専務理事が答えた。
NHKのネット業務はこれまで、放送を補完する「任意業務」として、ネット活用業務実施基準の中で、年200億円を上限とすることが定められていた。必須業務化に伴い、実施基準から外れることになる。
小池氏は「これまでは、必須業務の実施に支障を来すことのないよう、上限を定めることが求められていたと理解している。必須業務化の際には、放送と同様に予算事業計画において、予算を編成して国会で審議いただくことになる」と説明。その上で「具体的な予算規模は今後精査するが、いたずらに拡大することは想定していない」と強調した。記者から上限を撤廃するということかと問われ、「検討課題」と話した。
NHKのネット業務費の上限を巡っては、2020年9月、NHKが、それまで受信料収入の2・5%以内としていた上限を撤廃する改定案を発表。NHKの「肥大化」を懸念する民放などが反対し、200億円の上限を設ける内容に修正した経緯がある。
稲葉会長は22日の会見で、改正放送法について「ネットサービスがこれまでよりも高い位置づけとなる。放送を主な業務としてきたNHKにとってまさに歴史的な転換点を迎える」と述べた。ネット業務のサービス開始時期は、システム改修などに一定の時間を要するとして、25年度後半を目指すとした。【諸隈美紗稀、井上知大】
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