悪質なホストクラブで支払い能力を超える料金を請求された女性が借金を背負い、売春などで返済する事例が相次いでいる問題で、武見敬三厚生労働相は22日、被害当事者らと面会した。武見氏が当事者から直接話を聞くのは初めて。当事者らは、高額な売掛金(ツケ)の禁止などを盛り込んだ「ホスト新法」の制定を求める4000筆の署名を武見氏に手渡した。
問題を巡っては、4月12日の衆院厚労委員会で、野党議員から現地視察について問われた武見氏が「被害者の話を直接伺えるのであれば、機会を作りたい」と答弁していた。
面会には被害当事者の女性や家族の計4人のほか、二つの支援団体が出席。当事者らは、ホストからマッチングアプリなどを通じて来店を誘われて言葉巧みに高額な借金をさせられた経緯などを説明した。
被害者、海外売春に追い込まれ
被害女性の一人は、昨年1~11月にホストクラブに通って、計2500万円を請求された。ホストに支払いを迫られ、海外売春に追い込まれたという。毎日、暴力にさらされて何度も閉じ込められていた高層ホテルから飛び降りようとした。「普通に生きて、普通に恋愛をしてきた。ホストに踏み込まないような注意喚起や、きちんと相談できる体制を整えてほしい」と訴えた。
23歳の娘が被害に遭った母親によると、マッチングアプリでホストと知り合い、半年で1200万円の売掛金を抱えて風俗店で働くようにそそのかされたという。警察や弁護士に相談したが、現行法では対応できなかったとして「法律の網の目をくぐって、売春に誘導していた。ルールの沼に落とされ、親としては胸が張り裂けるような思いだ」と訴えた。
説明を聞いた武見氏は、全国にある女性相談支援センターの支援員を対象に、改めて悪質ホストクラブについて研修をするほか、関係省庁との連携強化を検討する考えを示した。
厚労省によると、昨年12月~今年3月に窓口へ寄せられた相談は延べ98件。そのうち7割を消費生活センターや都道府県警などにつないだ。厚労省は6月上旬にも、全国の相談窓口につながる短縮ダイヤルを開設し、支援体制の強化を図る。【肥沼直寛】
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