送検される姜光紀容疑者=東京都大田区の警視庁池上署で2024年5月2日午前8時46分、幾島健太郎撮影
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 栃木県那須町の河川敷で夫婦の遺体が見つかった事件で、実行役とされる神奈川県大和市中央4の無職、姜光紀(カングァンギ)容疑者(20)=韓国籍=が「仲介役から『やらなければ上の人間からどんな目に遭わせられるか分からない』と言われ、怖くなって引き受けた」と供述していたことが捜査関係者への取材で判明した。

 警視庁と栃木県警の合同捜査本部は、仲介役が上位の指示役の存在をほのめかして圧力をかけ、姜容疑者と、住所・職業不詳で元俳優の若山耀人(きらと)容疑者(20)に夫婦の殺害を請け負わせたとみている。捜査本部は21日、2人を殺人容疑で再逮捕した。

 再逮捕容疑は、4月15日午後11時50分から翌16日午前1時半ごろまでの間、東京都品川区東五反田の空き家のガレージ内で、仲間と共謀して、会社役員の宝島龍太郎さん(55)と妻幸子さん(56)=東京都千代田区=の首を絞めるなどして殺害したとしている。

 捜査関係者によると、姜容疑者は、仲介役とされる建設業の平山綾拳(りょうけん)容疑者(25)から4月上旬に夫婦の殺害を依頼されたと説明。「当初は遺体を車で運ぶよう頼まれ、数日後に殺害して運ぶ依頼に変わった」と供述したという。

 姜容疑者は「事の重大性を理解して断ろうとしたが、『上の人間からどんな目に遭わせられるか分からない』と言われ引き受けた」とも供述。平山容疑者から報酬の現金500万円を受け取り、うち250万円を若山容疑者に渡したと話しているという。

 若山容疑者は「何をやるかは聞いていなかった」と供述し、報酬は150万円程度だったと話しているという。平山容疑者は2人に殺害を依頼した理由を「普段からけんかっ早く、怖い物知らずの雰囲気があった」と供述している。

 姜、若山両容疑者は事件後、大阪府に移動し、クラブに行くなど数日間滞在。サングラス姿で友人らとピースサインをする画像がSNS(ネット交流サービス)に投稿されたことが、捜査本部が居場所を突き止めるきっかけとなった。

 4月30日に神奈川県と千葉県で身柄を確保された際の所持金は、姜容疑者が約12万円、若山容疑者が約1万円。報酬を遊興費の他、高級ブランドのバッグや貴金属などの購入に充てたとみられる。

 死体損壊容疑で逮捕された6人のうち、殺人容疑での再逮捕は、指示役とされる住所不定、職業不詳の佐々木光(28)と平山両容疑者を含め4人となった。捜査本部は、夫婦の長女の内縁の夫で主導役とされる会社役員の関根誠端(せいは)容疑者(32)ら2人も殺人容疑で再逮捕する方針。【岩崎歩、菅健吾、朝比奈由佳】

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