「第10回世界水フォーラム」に基調講演をビデオで寄せられた天皇陛下=皇居・御所で2024年5月17日(宮内庁提供)

 天皇陛下は21日、インドネシア・バリ島で開かれている国際会議「第10回世界水フォーラム」に基調講演をビデオで寄せられた。「繁栄を分かち合うための水」と題し、自身で撮った写真などを示しながら、英語で人と水の関わりを解説。「世界の水の現状は楽観視できるものではない」として、衛生や災害など水を巡る議論の深まりへの期待を語った。

 陛下は水問題の研究をライフワークとしている。講演では元日に発生した能登半島地震に触れ、断水、トイレ確保など衛生問題や津波被害を説明。「災害が発生するたびに新たな課題が見いだされますが、一つずつ克服することで、災害に強い地域を創っていくことが可能になる」と話した。

 また、昨年6月に公式訪問したインドネシアで学んだ治水の歴史や見学した排水施設の役割にも言及し、「水災害に立ち向かうには、科学技術の進展と関係者の育成が不可欠」などと述べた。

 世界水フォーラムは、各国の水に関する課題を共有する国際会議でおおむね3年に1度開かれる。陛下は日本で2003年に開催された第3回以降、講演をしたりビデオメッセージを寄せたりして毎回関わっている。【山田奈緒】

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