西武学園医学技術専門学校(埼玉県所沢市)に通っていた仙台市の下田華愛さん(当時21歳)が退学後に自殺したのは、教員らのアカデミックハラスメント(アカハラ)が原因だとして母親が15日、同校を運営する学校法人(所沢市)や校長、教員らを相手取り、約6880万円の損害賠償を求めて仙台地裁に提訴した。
訴状などによると、臨床検査技師を目指していた下田さんは高校卒業後の2021年に同校に入学。奨学金の手続き時に教員から「あなたは他の人より大きな金額を借りているからこの先大変よ」などと他生徒のいる前で侮辱され、その後、別の教員から実習の際に「ばか」と怒鳴られるなどした。
さらに、一連のハラスメント行為を校長に相談したところ「冗談で言ったんでしょ」などと誠実に対応してもらえず、母親が学校側に救済措置を求めても応じてもらえなかったという。下田さんは授業に出席できなくなり、22年7月に退学。その後、うつ病などと診断され、23年11月に自ら命を絶った。
生前、下田さんが書いたメモには「どれだけ一生懸命やろうとしても『大人』にすぐこわされる。全てがきょうふでした」「奨学金、お金のことで頭がいっぱいになりもう消えてしまいたい」などと苦しみがつづられていた。
遺族側は教員らのアカハラに加え、学校側の不適切な対応が原因で自殺に至ったと主張している。
提訴後、記者会見した母親は「(娘は)ハラスメントを受けて悩み苦しみ、人間性を粉々にされた」と訴えた。下田さんの名前を出すことについて「再発防止を学校側に求めるとともに、こうした事案があったことを多くの人に知ってもらいたいから」としている。
遺族側代理人の神坪浩喜弁護士によると、下田さんの死後、学校法人に対してアカハラの有無などを調べる第三者委員会の設置を求めたが、拒否されたという。
法人は毎日新聞の取材に「現時点ではコメントできない。訴状が確認でき次第、対応を検討したい」と答えた。【遠藤大志】
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