警視庁

 無登録で社債を販売したとして、警視庁生活経済課が、金融コンサルタント会社「グランシールド」(東京都中央区)社長、中村佳敬容疑者(46)=東京都江東区=ら男女8人を金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで14日に逮捕していたことが捜査関係者への取材で判明した。

 中村容疑者らは債務保証会社「トラステール」(東京都千代田区)から請け負い、同社の社債などの販売名目で2017~23年、全国の約1300人から総額約80億円を集めたとみられる。社債を販売する際には高配当をうたっていたといい、警視庁は集めた資金の流れを調べている。

 捜査関係者によると、他に逮捕されたのはトラステール社長、高橋章容疑者(61)=千代田区=ら。中村、高橋両容疑者ら8人は共謀して、国の登録を受けずに20年4月~23年1月ごろ、男女16人にトラステールの社債を計約1億3000万円で販売した疑いが持たれている。

 金商法では、購入対象者が50人未満の社債は「少人数私募債」と規定し、原則、金融庁に登録せずに発行できるとしている。中村、高橋両容疑者はトラステールの社債が、少人数私募債であるかのように装い、実際には不特定多数に販売していたとみられる。

中村佳敬容疑者らが社債の購入を勧める際に使用した説明資料=関係者提供

 グランシールドの従業員らは「ファイナンシャルプランナー」を自称。顧客に対して、社債を購入すれば「年利20%の配当を受けられ、5年後に元本を全額返却する」などと勧誘を繰り返していたという。

 23年2月ごろから配当が止まり、その後、社債の購入者らが警視庁に被害を相談していた。

 関係者によると、中村容疑者らは顧客に、トラステールの事業について、医療機関が診療報酬請求権を債権化して金融機関から融資を受ける際、「返済を連帯保証する代わりに、融資額の3%を保証料として受け取る」などと説明。仮に医療機関が債務不履行に陥っても、「大手損害保険会社が返済を肩代わりするため、事業が破綻するリスクは低い」という趣旨の説明をしていたという。

 警視庁はこの事業スキーム自体に実体がなかったとみて、全容解明を進めている。【加藤昌平】

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